30年以上女性の自立を訴えてきた“フェミニズムのパイオニア”田嶋陽子さん。MeToo運動やKuToo運動など最近のフェミニズムの動きをどう見ているのでしょうか? 聞き手は演劇史研究者の笹山敬輔さんです。(全3回の3回目/#1#2へ)

英文学者、女性学研究家の田嶋陽子さん

 

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舛添さんなんか、私のことを「ブス」って言ったんだよ

―― 先生は30年近くテレビに出演されていますが、メディアとフェミニズムの関係は変わってきましたか?

田嶋 そうですね。昔とくらべて、「女らしく」とか「男らしく」とかそういう性別役割分業に直結するような言葉とか、それと女の人の容姿のことは、あまり言わなくなったような気がするね。

 当時、舛添(要一)さんなんか、議論に負けそうになると、私のことを「ブス」って言ったんだよ。だから、私はお返しに「ハゲ」って言ってやったんだけど(笑)。

―― 『TVタックル』での舛添さんとのバトルは、すごく印象に残ってます。

田嶋 最近、舛添さんと『そこまで言って委員会』で会うんだけど、なんだか豹変しちゃってね。「お久しぶりです。ますますお変わりなく」ってお世辞言っちゃって。また選挙に出るのかな(笑)。

 ただ、若い男の人が変わってきたかもしれないね。「イクメン」が出てきて発言してるし、若い男の人が生活自立できるようになってきたでしょ。料理も家事も自分の面倒を自分でみられるようになった。それはすごい希望ですね。そういう姿をもっと見せてほしいですね。

 

―― 昔はテレビ局の廊下で女性タレントが顔を背けたとおっしゃっていましたが、今はどうですか?

田嶋 さあ、どうなんでしょう。近ごろ、テレビ局にそんなに行かないから。ただ局内で女性の顔が増えてきたし、女性のプロデューサーやディレクターやカメラウーマンも増えてきたし、活躍の場が広がってますよね。フェミニズムを生きてるのでは?

―― 最近は、SNSでフェミニズムが話題になることも増えてます。

田嶋 私は全然見ない。昔はね、みんなデタラメ言ってたから、見ると頭が痛くなってね。

―― いえ、むしろフェミニズムの視点から、いろんなことに異議を申し立てることが多いようです。

田嶋 へえ、女の人がリーダーシップとってるの? すばらしいね。