1985年に「自分の足を取りもどす」と書いていた
―― 最近の話題だと、「KuToo運動」があります。職場でパンプスやハイヒールを強制されることをなくそうという運動なんですが、先生は1985年に「自分の足を取りもどす」という文章を書かれていますね。
田嶋 私に言わせれば、ハイヒールは纏足のなれの果てですから。女の自由を奪うためのもので、働くために作られてない。だから、ハイヒールをはくと体を壊すんですよね。私もそうでした。昔は女らしくなろうとハイヒールをはいてたら、腰を痛めました。私は、子どものころに下駄をはいて飛んで歩いてたから、足が扇の半開きなんですよ。だから、ハイヒールなんて入らない。ただ親からも「そんなに大足だとお嫁に行けないよ」と言われたので必死ではいてましたね。
―― 「自分の足を取りもどす」では、ハイヒールを脱いで自分に合った靴を探すことで、男文化による抑圧からも解放される過程が、先生ご自身の体験として書かれています。30年前の“一人KuToo運動”ですね。
田嶋 そう、KuToo運動、いいじゃないですか。何かを変えようとすると、必ずバックラッシュが起きるんだけど、右へ左へと螺旋を描きながら、少しずつ上に行けばいいんですよ。
―― ちなみに最近でも歌手として舞台に立つときは、ハイヒールをはくんですよね。
田嶋 はくよ。自分用に作ってもらった靴でね。だんだん年をとってくると、背中が曲がってくるから、ハイヒールをはくと背中がシャンとする気がするのね。1時間という短い時間だけだから、TPOですね。でも、普段はそんなもので歩けないよ。ほんと靴って大変、下駄のほうがいい。普段はスニーカーまがいのものをはいてますね。
―― 先日、Twitterで上野千鶴子さんが「ハイヒールを美しいと感じてはいているなんて野蛮だ」と言って、それに対して運動を呼びかけた石川優実さんが「KuToo運動はハイヒールもフラットシューズも、どちらも選べる選択肢を求める運動です」と反論するということがありました。