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長谷川 晶一
2017/03/01

【ヤクルト】全12球団のファンクラブ会員になった男の葛藤

文春野球コラム ペナントレース2017

「……で、どちらのチームのファンなんですか?」

 プロ野球12球団すべてのファンクラブ(FC)に入会して、今年で13年目のシーズンを迎える。10年目となる2014(平成26)年に、この顛末を書籍(『プロ野球12球団ファンクラブ全部に10年間入会してみた! 〜涙と笑いの球界興亡クロニクル〜』)にして以来、さまざまなテレビやラジオ、イベントに呼ばれる機会が多くなった。その際に必ず聞かれるのが、「……で、どちらのチームのファンなんですか?」という質問。僕は胸を張って、「もちろん、ヤクルトです!」と答えるものの、尋ねた方は「……あぁ、そうですか」と、釈然としない様子で会話を打ち切る。これまで何度、このやりとりを繰り返したことだろう。

 一方、この頃からネット界隈では、「アイツは全球団のFCに入る優柔不断な男だ」という批判を目にする機会が増えた。確かに、そういう一面もあるから仕方がない。また、ヤクルト以外のファンからしばしば言われるのが、「あの男は全球団を愛する博愛精神をアピールしているけど、実はただのヤクルトファンだ」という指摘。これも事実だから仕方ない、甘受するしかないだろう。しかし、これだけは受け入れがたいのが、「アイツはヤクルト好きだと言いながら、巨人FCに入るような、エセヤクルトファンだ」という、ヤクルトファンからの批判だ。

 でも、これだけは声を大にして言いたい。1980(昭和55)年に、初めてヤクルトFCに入会して以来、僕は一度もスワローズ以外の球団に心を奪われたことはない。37年間、純潔を保ち続ける一途なヤクルトファンなのだ! 10歳から46歳の現在まで、人生のほぼすべてをヤクルトとともに歩んで来たのだ! 「エセヤクルトファン」などと、的外れな批判を受けることは甚だ心外なのだ!

山田哲人を取材する筆者 ©長谷川晶一

手始めに、神宮の年間シートを購入!

 これまで、数多くの野球関連書籍を出版してきたけれども、ヤクルトファンだからこそ、ヤクルトに関する仕事は控えてきた。一応、「仕事に私情は持ち込まない」という、僕なりの職業倫理感ゆえだったのだが、そんなこだわりを持つことなど、もうやめた。他球団ファンから嫌われ、ヤクルトファンからもバカにされるのならば、自分に正直になって、「好きなものは好きだ、ヤクルトが好きだ!」とカミングアウトした方がずっとラクだ。誰からも嫌われるのならば、せめてヤクルトファンだけにでも好かれたい。

 そんな思いを胸に、今年の夏に2冊の『ヤクルト本』を出版することを決め、取材と原稿に取り組んでいた頃、文春オンラインから「野球コラムでペナントレースをするので、ぜひヤクルト代表で参加を!」と依頼が来た。何というタイミングなのだ! 断る理由などあるはずがない。長年のファンとして、全身全霊を傾けて、僕なりの「ヤクルト愛」をキーボードに叩き込もうではないか!

 その決意の表れとして、手始めに「神宮球場開催全67試合・外野指定席Aチケット」を購入することにした。10万500円。普段はバックネットや内野席からメモを取りながら観戦しているのだけれど、今年はライトスタンドから、ビールとともにヤクルトの応援をすることにしよう。仕事で全国を飛び回っているため、東京を留守にすることが多い。チケットを無駄にしてしまうことも多いだろう。けれども、これで「見たいけど、チケットが買えない……」という情けない事態に陥ることはなくなった。今年は安心して応援に専念できる。

打倒巨人、打倒プロ野球死亡遊戯!

 先日、さっそくヤクルトキャンプを見学するために沖縄県浦添市を訪れた。大好きな伊藤智仁投手コーチが見守る中、石川雅規、館山昌平、小川泰弘、山中浩史、原樹理、村中恭兵、石山泰稚、成瀬善久が黙々とブルペンで投げ続けていた。新外国人投手のオーレンドルフ、ブキャナン、ギルメットもダイナミックな投球を披露している。

 思わず、「石川が12勝、館山が10勝、ライアンは15勝、山中、原樹理はそれぞれ10勝前後……」と皮算用。困った、どう考えても10勝投手が6名以上誕生し、シーズン100勝に迫る計算になる。打撃陣は何も心配はない。山田哲人は前人未到の3年連続トリプルスリーを達成するだろうし、畠山和洋は復調し、雄平、バレンティン、坂口智隆の強力外野陣も安泰だ。川端慎吾が椎間板ヘルニアで離脱しようとも、我らには「山田2世」の呼び声も高い廣岡大志が控えている。

 今年のヤクルトはぶっちぎりでセ・リーグ制覇を果たすことだろう。僕らはただ、その過程を球場の片隅で声を張り上げながら見守ればいい。ヤクルトファンのみなさん、何も心配はいらない。安心して我らのスワローズ戦士たちを応援しようではないか!

 そして僕もまた、今春スタートする「文春野球コラム ペナントレース」において、ヤクルトナインに恥ずかしくない戦いを披露するつもりだ。特に、巨人には絶対に負けられない。毎年、ヤクルトと巨人は「TOKYOシリーズ」と銘打って、東京に本拠地を置く2チーム同士で激しく火花を散らしている。「文春野球」においても、絶対に巨人には負けられない。「打倒・プロ野球死亡遊戯!」を旗印に一年を戦い抜く。どうぞ、ご声援のほどよろしくお願いいたします!

 

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