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MEGASTOPPER DOMI
2017/03/10

【オリックス】平野のWBC活躍を祈るも、拭えない過去の記憶

文春野球コラム ペナントレース2017

WBCは楽しみではあるが、温度は人肌

 冒頭から危険球を投じるようだが、我々Bsファンで「WBCが楽しみで楽しみで夜も寝れない」というメンバーはかなり少数派である。言ってしまえば「WBC」の小久保監督だろうが「NWF」の猪木さんだろうが「YMO」の坂本教授だろうが、何なら「ELT」の持田香織でもそう大差なく、「楽しみにしているで~」くらいの反応だと思うのだ。

「何で? 野球好きでしょう? 夢のチームだよ!」と思っている方、考えてみて欲しい。

 今回は途中まで選出0人、ギリギリで平野投手1人だけ。あの選手やこの選手に世界舞台で活躍して欲しいと願うも、ほぼ毎回超少数選出。それどころか、過去に送り出した新人賞投手が結局アメリカから帰国しないまま引退したような状況になった事もあり、いつの間にか我々はWBCに過度の期待とか希望、夢を持てなくなってしまったようだ。小松投手が大好きだった自分も、Bsステージ(京セラドーム等での場外ステージ)でよく「優勝カップは返していいから、小松投手を返して貰いたい」等と毒突いたものだ。

WBC日本代表との強化試合 ©MEGASTOPPER DOMI

 しかも、WBC開催は4年に一度。前回も書いたが我々Bsファンにとって、4年に1度のイベントでは「この前あったなぁ」程度の印象なのである。現に優勝争いを繰り広げた2014年の話題が一番盛り上がるし、なんといっても今季は6年ぶりに本拠地で開幕戦を迎えるのだ。「WBCが楽しみで楽しみで夜も寝れない」はずがないのである。

侍とは柔良く剛を制すものなり

 ところで、前回侍JAPANが優勝したWBC2009年大会。原監督率いる侍ジャパンは何度も絶望の淵に立たされた。松坂投手、ダルビッシュ投手等、リーグ戦では「まず打てないだろうな」と悲観するようなライバル球団の投手たちが次々と先発したのにだ。イチロー選手にしてもあれ程追い込まれた彼の姿など見た事も無かったので、現場の空気が重く重く伝わってきたのを今でもハッキリと覚えている。

 そんな中、その都度侍ジャパンの危機を救ったのは間違いなく岩隈投手だった。前年に沢村賞を受賞しており、安定感も抜群であったが、あれ程頼もしい岩隈投手を見たのは近鉄時代を含め初めてだったように思う。緊迫した状況で「打たせて取る」ピッチングがいかに難しいか。チームへの信頼と自身への信頼が高い次元で融合しているからこそ出来た芸当だと本当に感動した。豪腕で鳴らした投手達が惜しくも痛打されてしまう中、淡々とアウトを重ねていく岩隈投手の勇姿を見て、まるで「北斗3兄弟」の「トキ兄さん」を見るような心の躍動があったのだ。

 今回のWBC選出投手の中で、果たして誰がこの「トキ兄さん」役を引き受けてくれるのだろうか。誰しも皆「ケンシロウ」や「ラオウ」がやりたい。三振の山を築きたい。ましてあれだけの能力を持った投手達である。世界を相手に自分を試したいと思っていても何ら不思議な事ではない。豪腕そのまま勝利するのが一番理想的な展開ではあるが、2009年の前例もある。松坂投手やダルビッシュ投手が上手く起動に乗らなかった場合の事もじゅうぶんに考えておく必要があるのだ。

 そこで思う。「トキ兄さん」の選出が漏れているのではないか? 1000文字程経過してやっと「文春野球コラムペナントレースのBs代表」らしい話題になるが、小久保監督。「選出すべきだった」偉大な先発投手の選出を一人忘れてはいないだろうか? Bsファンなら、もう言いたい事が分かっているだろう。声を揃えて言おうじゃないか。

 そう、金子千尋投手である!

 打たせて取れる。三振も奪える。丁寧に四隅を突く金子投手のピッチングこそ世界のスラッガーをヒラヒラとなぎ倒す「トキの拳」であると思うのだが。

ラストイニング侍はリードを死守した局面にこそ真価を発揮する

WBC初選出となった平野佳寿 ©Getty Images

 いかに日本の野球レベルが世界一だとしても、世界戦ともなれば必ずピンチは訪れる。しかも、侍たちはそれを乗り越えて世界一を奪還する事を強く使命付けられているのだ。絶望の淵に立たされた時こそ基本に忠実に、丁寧に、シビアに且つ強気で戦う事が一番の良策になるのだろう。

 金子投手は選出されていないから仕方がない。ここは選出メンバーの誰かが2009年の岩隈投手のように侍ジャパンの危機を救ってくれると信じようじゃないか。我々Bsファンお目当ての平野投手は、先発投手がリードを死守した局面にこそ真価を発揮する投手。平野投手の活躍は間違いなく侍JAPANの勝利に直結するだろう。だからこそ、1試合でも多く平野投手が活躍してくれる事を強く期待している。とは言いつつも、まずは平野投手が怪我なく無事に「帰って来てくれる」事を願いながら、今後も楽しく観戦したい。

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※「文春野球コラム ペナントレース2017」実施中。この企画は、12人の執筆者がひいきの球団を担当し、野球コラムで戦うペナントレースです。

 

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