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MEGASTOPPER DOMI
2017/04/11

【オリックス】糸井嘉男はいないけど、大丈夫、俺たちには安達了一がいる!

文春野球コラム ペナントレース2017

 拝啓

 阪神タイガースファンの皆さま。先日お求め頂きました糸井嘉男選手の調子はその後いかがでしょうか。喜んでご使用頂いておりましたら幸いです。怪我を押しての強行出場、そのまま首位打者や盗塁王のタイトルを獲得。とにかく規格外のフィジカルを備えております。

 しかし一方、足が痛いと言い出した(後に骨折が判明する)のでいつ頃から痛かったのか問うたところ「中学時代です」と言ってのけたというような逸話も頻繁に耳にします。とにかく色々な意味で規格外のアスリートです。つきましては末長くご愛用頂く為に定期的なメンテナンスを強くお勧め致します。

 敬具

期待と不安が入り混じっていた2013年

 糸井選手といえば2013年1月。大型トレードの報道が自分の下に飛び込んで来た。球団歌を歌う立場といえど、そのような話を事前に球団から漏れ聞くような事は一切無い。皆さんと同じくテレビかスポーツ紙からの情報であったと思う。日本ハムの糸井、八木智哉と木佐貫洋、大引啓次、赤田将吾の2対3の大型トレード。糸井という球界を代表するスーパースターの獲得に心躍る思いであったが、同時に一つ大きな不安が頭を過る。

「内野の補填はしないのか。いや、そもそも守備の要を失ってチームとして機能するのか」

 それ程当時のBsファンにとって大引選手(現ヤクルト)の存在は大きく、守備だけでなく精神的にも間違いなくチームの支柱であった。Bsは2011年のドラフトに於いて安達了一、縞田拓弥、堤裕貴、小島脩平と多数の内野手を指名・獲得している。果たしてその中の誰かが、2013シーズンをフルに戦える目処でも立ったのだろうか。

 そんな我々の不安を、ある一人の選手がすぐに払拭する事となる。今となっては押しも押されもせぬBs攻守の要、安達選手であった。

2013年の大型トレードでチャンスを得た安達了一 ©文藝春秋

安達了一を語る上で欠かせない守備指標「UZR」

 安達選手を語る上で、まず真っ先に話題に上るのがその華麗な守備である。軽やかなグラブ捌き、確実な送球。まさに鉄壁の遊撃手と呼ぶに相応しい。しかし、こと守備に関しては見る側の主観がその印象を大きく左右する。記者投票により選出する「ゴールデングラブ賞」が良い例だろう。では安達選手を語るには印象面だけを多数並べて熱く説明する事しか出来ないのだろうか。否、決してそうでは無い。

 データ面に於ける野球解析の先進国アメリカでは「UZR」なる守備指標が確立されており、NPBに於いても各選手の「UZR」が公表されている。「UZR」とは Ultimate Zone Ratingの略で、至極簡単に言えば「1.グラウンドを多数のゾーンに区分し 2.そこに飛んだ打球のデータを解析し 3.打球に対する野手のプレーを評価したもの」で、守備でどれだけの失点を防いだかを計算するものだ。この「UZR」の数値を見るに、安達選手は毎年圧倒的に高い水準でプレーしている事が分かる。それも激戦区ショートのポジションで。

 例えば2014年の安達選手の「UZR」は+22.0、ちなみに名手と呼ばれる巨人の坂本勇人選手で+16.6、広島の菊池涼介選手で+13.2である。これは安達選手のプレーにより、「±0である平均的な同ポジションの選手」より22点多くの失点を防いだ計算になり、またマイナス数値の選手と比較するとその差は更に大きなものとなる。

 2015年の安達選手の「UZR」は+26.2、これより高い数値を残したのは坂本選手の+32.3だけである(※「UZR」値はすべて株式会社DELTAの公表値)。見る側の主観を一切加味せず守備の貢献指標だけを見ても、間違いなく安達選手は球界屈指の遊撃手なのだ。

命を削りながら一つのアウトを取りに行く

 このBs攻守の要、安達選手。実はある難病を抱えながらプロの世界で必死に戦っている。「潰瘍性大腸炎」という厚生労働省から難病指定されている病気で、第一次安倍政権時の安倍晋三首相の退陣理由も同じくこの病気が原因だと言われている。

「結果がすべて」のプロ野球選手であるから、置かれた境遇の話をするべきでは無いのかもしれない。すべての野球選手が何らかの境遇と闘いながらプレーをしているのも事実だろう。しかし、安達選手のそれはあまりに過酷な試練のように思う。まさに「命を削りながら一つのアウトを取りに行く」行為を日々重ねているのだ。

 それでも我々は安達選手に多くのものを望んでしまう。走って欲しい、飛び込んで欲しい、無理をして欲しい。安達選手もまた、プロとして輝きを放つ為に我々の期待を望むだろう。そんな彼の心意気に応えるもの、それはやはり勝利である。そしてその為に我々に出来ること、それはやはり応援なのだ。秋に安達選手の努力が最高の形で報われるよう、声を限りに届けて欲しい。Bsファン同志諸君! 我々が誇る球界屈指の遊撃手への熱い熱い声援を。

猛れ雄々しく行け本能の侭に 気魄出してここで今見せろ力振り絞れ
猛れ雄々しく行け本能の侭に 気魄出してここで今見せろ力振り絞れ
我武者羅に喰らいつけ上州男が 張っ飛ばす! 了一! 了一! 張っ飛ばせ! それ! 張っ飛ばせ!
<安達了一選手応援歌:詞・オリックスバファローズ私設応援団>

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※「文春野球コラム ペナントレース2017」実施中。この企画は、12人の執筆者がひいきの球団を担当し、野球コラムで戦うペナントレースです。

 

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