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安田 峰俊
2017/05/11

「GWは北朝鮮旅行へ」中国庶民の薄い危機感

情報が入ってはいるけれど

 先月以来、世界では朝鮮半島における軍事衝突発生の危機が一定のリアリティを伴って語られるようになり、日本では緊張感が高まっている。5月1日、海上自衛隊の護衛艦は安保法制に基づき、史上初めて米海軍艦船の護衛任務を日本の領海内で実施。また6日には国内大手各紙が、朝鮮半島有事発生の際の邦人・アメリカ人の脱出計画に関する日本政府側のプランを相次いで報じた。一部報道やネット世論などにおいては、北朝鮮の建軍節(朝鮮人民軍の設立記念日)である4月25日前後に「開戦」するという気の早い見立てすら登場していた。

 いっぽう、北朝鮮との軍事衝突において「当事者」となるはずの韓国では、日本ほどの危機感の高まりは見られないとしばしば報じられている。ならば、北朝鮮と国境を接するもうひとつの隣国・中国はどうなのだろうか?

 結論を先取りして言えば、すくなくとも庶民レベルでは「韓国以上に緊張感がない」が答えである。

北朝鮮旅行には歯ブラシを持っていけ!

GWの北朝鮮ツアーのホームページ。現在も毎日催行している。

 緊張感のなさを感じさせる最も象徴的な事例が、中国国内の各旅行業者によって催行されている北朝鮮観光ツアーだろう。私が複数の業者に電話を掛けて聞いてみたところ、中国国内発の北朝鮮ツアーはこのゴールデンウィーク中も無事に催行されていた(ただし、以前は可能だった日本人のツアー参加は現在はNGのようだ)。

 北朝鮮のミサイル発射失敗が伝えられた4月中旬、一時的に中国系航空会社の北朝鮮運行が見合わされたり、中国国内発の北朝鮮ツアーが催行中止になった(ただしいずれもミサイル・核問題との因果関係は不明)と報じられたこともあるが、少なくとも現在はいずれも復活している。

 ここで、吉林省の延辺朝鮮族自治州から北朝鮮東部のラソン特別市に陸路で行く1泊2日ツアーの概要を以下にご紹介しよう。なんとも牧歌的な空気が漂う説明文に、思わず拍子抜けすること請け合いである。