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鼠入 昌史
2017/07/17

天理駅前に「白い古墳」が続々と出現した理由 2人のキーマンが語る

新しい「駅前リニューアル」のかたち

 地方都市の駅前といったら、たいていがどこも変わらないお決まりの光景が広がっているものだ。改札口を出ればバスやタクシーのロータリー。そしてその中央には「ようこそ」なんて書かれて先端に時計の付いた塔のようなものが建っていて、その周辺に謎のオブジェが置かれていたり。そして、駅の周りにはほとんど人がいない。おかげで、仮に駅から少し離れた商店街が賑わっていたとしても、旅人は「ああ、この町は寂れているんだな」などと思って次の列車で町を去ってゆく。数少ない列車に退屈そうな駅員に別れを告げて――。

宗教都市・天理市の玄関が、激変した

 と、こんな地方の駅あるある。だが、もちろんすべての駅前がこんな感じで寂れているわけではない。関西は奈良県、京都駅から約1時間の天理市の玄関口・天理駅。だだっ広い駅前広場に白い円形の小山がいくつも建ち並び、山の上やら周囲やらを子どもたちが駆け回る。内部がトランポリンになっている山のひとつでは、延々とジャンプし続ける小学生の姿。半地下のカフェでランチを楽しむ人の姿があれば、高架下の“南団体待合所”では井戸端会議を楽しむお年寄り。仕事サボって昼寝を決め込むサラリーマン、勉強に励む高校生の姿……。一体、これは何なのか。というわけで、天理市総合政策課の吉本幸史さんに聞いてみた。

天理駅前に円形古墳! ©鼠入昌史

「これ、『CoFuFun(コフフン)』と言いまして、今年の春に完成したばかりの広場です。広い駅前広場を活用して、多くの市民が集まり、そして子どもたちが自由に遊べる場所を提供したい。そういう狙いで作りました。これまで、ほとんどの人が素通りしていた駅前も今ではすっかり賑やかになりましたね(笑)」

リニューアルの背景にあった市の課題とは?

 吉本さんによれば、もともと天理駅前は天理教の信者が全国から集まるために2万平米近い広大な広場が設えられていたという。かつてはJR・近鉄とも多くの団体臨時列車が走り、駅前の広場はたくさんの信者たちで賑わった。が、最近では鉄道ではなくバスで訪れる信者が増えたため、駅前広場や改札口直結の“団体待合所”の利用も減っていた。その再整備で生まれたのがCoFuFunというわけだ。背景には、市の抱える課題があった。

「2003年にも広場を南北に分けて再整備したのですが、当時は駅前の違法駐輪対策が重視されていたので、地下に駐輪場を作っただけでした。でも、整備から10年以上が経過し、現状天理市も人口減少に悩んでいますし、なんとか町を活性化させたい。子どもたちが安心して遊べる場所も作りたい。子どもが集まれば親御さんも来るし、高齢者もやってくる。賑やかな駅前にすることが、活性化の第一歩になるのではないかと思ったのです」

リニューアル前の天理駅前
現在の天理駅前 ©鼠入昌史
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