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連載文春図書館 ベストセラー解剖

前田 久
2017/08/02

「カップ焼きそばの作り方」の本が10万部も売れた理由

『もし文豪たちが カップ焼きそばの作り方を書いたら』(神田 桂一 菊池 良 著)――ベストセラー解剖

『もし文豪たちが カップ焼きそばの作り方を書いたら 』(神田 桂一 菊池 良 著)

〈完璧な湯切りは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。〉有名なフレーズをもじった文章で終わる、村上春樹風の「カップ焼きそばの作り方」。インターネットで話題になったそのネタを元に企画された、全編パスティーシュ(文体模写)による「カップ焼きそばの作り方」の本が、書店員や読書好きの熱いプッシュで絶好調の売れ行きだという。

「最初は他の題材も扱おうかと考えていたんです。しかし著者と企画編集者の石黒謙吾さんから、『カップ焼きそばの作り方だけが延々と載っているところが面白い』と力説されて、現在の形になりました。コンセプトをより尖らせるのは正直、賭けでしたね」(担当編集者の九内俊彦さん)

 狙いは功を奏した。村上をはじめ、三島由紀夫、川端康成といった文豪から、高城剛や山本一郎のような人気ブロガー、はたまたヴィジュアル系バンドの歌詞、自己啓発本、「週刊文春」(!)まで登場する元ネタの幅広さが、題材が絞られたことで際立ち、笑いを誘う。

「著者のふたりと、編集者のふたりは、20代、30代、40代、50代と世代がきれいに分かれているんです。そんな4人で膝を突き合わせて作ったことが、内容の幅に繋がったのかもしれません」(九内さん)

 表紙に描かれた手塚治虫タッチの太宰治を筆頭に、イラストはマンガ家パスティーシュの第一人者・田中圭一が担当しており、そこもまた見どころだ。

2017年6月発売。初版2万部。現在4刷10万部

もし文豪たちが カップ焼きそばの作り方を書いたら

神田 桂一(著)

宝島社
2017年6月7日 発売

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