文春オンライン

石破茂元幹事長が語るアフターコロナの国のかたち コロナとの闘いは?国際秩序は?憲法改正は?

source : 提携メディア

genre : ニュース, 社会, 政治, 経済, 国際

note

アフターコロナの世界のパワーバランスは?

 

――ここからはアフターコロナの世界のパワーバランスについて伺います。まず中国ですが、いち早くコロナを封じ込め国際的な存在感を高めているように見えます。いまの中国をどう見ていますか?

石破氏:
短期的に言えば、中国の国家システムは感染防止に対して効果的だったと言えると思います。都市封鎖、情報統制や個人情報の国家による把握もそうです。しかし長期的には、軍隊は支配者のためのもの、情報は徹底的に統制され、人権は徹底的に抑圧されるという社会を、本当に世界は望みますかということだと思います。

そういう社会を望まない民主国家として、このウイルスとの闘いに勝つ、ということが重要です。ではこれまで民主国家はすべて負けたかというと、そんなことはないでしょう。台湾は人権弾圧という手法を取らずに目覚ましい成果をあげています。日本もいろいろ問題点は指摘されていますが、亡くなった方の数は決して多くはない。スウェーデンも特色ある対処法をとっていますし、ドイツもイギリスもそうです。そういう自由や人権や民主主義を重んじる国家が、新型コロナに勝つということが必要なんじゃないでしょうか。

ーー一方で民主国家の代表格であるアメリカが、いま一番傷んでいます。これはトランプ大統領のリーダーシップによるものだと思いますか?

ADVERTISEMENT

石破氏:
トランプ氏はオバマ政権に対するアンチテーゼのような政策を実行してきましたし、大統領選挙を控えているということもあって、最初の頃は「こんなものはすぐ終わる」とも言っていました。ただ、アメリカ人の自由と民主主義は、我が国やヨーロッパよりもはるかに強い自己責任に根差しているので、感染拡大が直ちにトランプ政権批判となるかは分かりません。

アメリカは中国とは違う意味で自国ファーストです。また、移民国家として、世界で最も優れているから世界中から人材が集まるということがある。ですから正義を掲げるイデオロギー国家としては、どのような戦いであっても負けるわけにはいかないでしょう。そう考えると、米中の対立は構造的・宿命的なもので、何かをきっかけに終わるというようなものではないと思います。