ミサイル発射や核実験を繰り返し、挑発を続ける北朝鮮に、この8月中旬、1週間にわたって滞在した意外な人物がいる。
金丸信吾氏(72)。1980年代後半の自民党で「最高実力者」の異名を恣にした金丸信・元副総理の次男である。父の全盛期に秘書として仕えた彼は、1990年の「金丸訪朝団」に随行して以降、父が築き上げた北朝鮮中枢との太いパイプを維持してきた。
訪朝は20回目となる金丸氏だが、今回の目的は「2017年白頭山偉人を讃える国際大会」への出席。「白頭山偉人」とは金日成主席と金正日総書記のことで、それぞれ生誕105年、同75年を迎えたため、世界66カ国から約200人を集めて一緒に祝福しようという式典だった。
滞在中、金丸氏は30年近い親交がある宋日昊・日朝国交正常化担当大使と会食。その場で「近いうちに日朝は劇的に動く」と聞かされたという。金丸氏がその内容を問うと、宋日昊氏は「それはまだ言えません」と言った後、「金正恩・朝鮮労働党委員長のご決断によって動きます」と続けたという。
ノンフィクションライター・常井健一氏の計7時間にわたるインタビューに対し、この8月に見た平壌の様子の詳細のほか、90年の自民党、社会党、朝鮮労働党の三党共同宣言に至る秘話、91年~92年に父・金丸信の名代として7度にわたって会談した金日成主席の素顔なども克明に明かしている。
詳細は、「文藝春秋」10月号に、10ページにわたって掲載されている。