昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載尾木のママで

尾木 直樹
2017/09/14

尾木ママ「日野皓正さんの"中学生ビンタ事件”に言いたいこと」

イラスト 中村紋子

 世田谷区教育委員会が主催した中学生バンド「ドリームジャズバンド」の演奏会で、世界的トランぺッター日野皓正さんが生徒のドラム演奏をやめさせようと往復ビンタした事件。週刊文春が報じて大きな話題になったけど、ビックリしたのは、テレビのコメンテーターの多くが擁護派だったこと。「日野さんの気持ちが分かる」とか「わがままは許されないと教えるべき」とか、教育のなんたるかを知らない拙劣な意見ばかり!

 まず、「昔は体罰が当たり前。今は体罰に神経質すぎる」というおなじみの論調には、いい加減うんざり。明治十二年に発布された「教育令」の第四十六条「凡学校ニ於テハ生徒ニ体罰(中略)ヲ加フヘカラス」から、戦後の学校教育法第十一条「校長及び教員は(中略)体罰を加えることはできない」まで、日本では一貫して体罰が禁じられてるのよ。昔も今も現場では体罰がまかり通っているけど、教育効果なんてありません! 法政大学で学生にアンケートをとったことがあるけれど、体罰で改心した、という回答はゼロに近かったわよ。

"往復ビンタ事件”が起きた現場 禁無断転載/文藝春秋

 次に、叩かれた中学生は天才肌で日野さんは以前から目をかけてたっていうわね。ボクが思うに、彼は一つのことに夢中になると周囲の声が聞こえなくなる独特のタイプ。四か月あったという練習期間に「通じないなあ」と感じることやトラブルもあったようね。本来なら、日野さんに指導を依頼した世田谷区教育委員会が教育のプロとして、責任を持って「こういうタイプのお子さんに伝えるにはこんな風に接するといいですよ」と助言すべきだった。

 それに、体罰とはまた別問題として、日野さんに苦言を呈したいのは、料金をとる演奏会であの醜態をお客に見せるのは、プロとしていかがなものかということ。

 教育のプロと演奏のプロにあえてモノ申しました。

はてなブックマークに追加