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「3か月で300万円儲かりました」 “エリート学生”はなぜ持続化給付金詐欺に手を染めるのか

都内有名私大生の告白

2020/10/29
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持続化給付金の不正受給をそそのかす書き込みがいくつも

 Sも含め、全国で続発する大学生による持続化給付金の不正受給の背景には、最近の大学生の金儲けに対する関心の高さがあるように思う。

 Sとの出会いとなった、3年前の取材では、親の援助のもとで経済的にそれほど不自由のない生活を送る学生が、一攫千金を夢見てマルチ商法の毒牙にかかるというケースをいくつも目にした。

 今でもSNS上には、学生を含む若者同士が怪しい儲け話をやり取りするコミュニティがいくつも存在する。一時は、そんなコミュニティで、「学生でももらえます」などと、持続化給付金の不正受給をそそのかす書き込みがいくつも投稿されていたのだ。

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実際に学生たちを勧誘する文面。「2週間後に100万円が着金」などの文言がある

 確かに金儲けに興味のある若者が多く参加するコミュニティで、不正受給を呼び掛けることは、合理的といえる。

 つい10年ほど前なら、「いい会社」に就職することこそが、多くの大学生にとって共通の目標だった。ところがバブル崩壊から30年を経ても、民間企業の平均給与に大きな上昇は見られず、終身雇用制度は崩壊しようとしている。

 そうかと思えば、若くして巨万の富を得るIT起業家やYouTuberも少なくない。こうした「勝ち負け」を意識せざるを得ない世の中が、輝かしい将来が待っているはずの大学生たちの「山っ気」を増幅させ、その一部を持続化給付金の不正受給に向かわせているのかもしれない。

「3か月で300万円儲かりました」 “エリート学生”はなぜ持続化給付金詐欺に手を染めるのか

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