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中川 充四郎
2017/09/17

【西武】ハイタッチを“安売り”するベンチに違和感

文春野球コラム ペナントレース2017

 球場に足を運んでビールを手に大きな声でひいきのチームを応援するか、自宅でテレビの前でビールを飲みながらゆっくり観戦するか、それぞれの楽しみ方があります。いずれにしてもビールは欠かせませんが。現在ではCS放送の普及ですべての試合をプレーボールからゲームセットまで視聴することができます。かつてはプロ野球のTV中継といえば巨人戦が中心でした。なので、当時のプロ野球選手に好きなチームを聞くと「テレビで巨人戦しか映ってなかったので、巨人ファンでした」の返事が圧倒的。もちろん、アンチ巨人も存在しましたが、その相手ですのでセ・リーグのチームのファン。子供の頃からパ・リーグファンの私は、さみしい思いをしたものです。

 ただ途中経過を知りたいがために、テレビで巨人戦をつけていました。今のようなセンターからのカメラではなくネット裏からが中心で、後楽園球場のセンターの位置にある看板「森永キャラメル」(年によりチョコレート)の印象が強く残っています。あのCM効果はかなり高かったのではないでしょうか。最近はセンターカメラが中心ですのでネット裏の広告が増えていますが、多すぎてカラフルなのは目障りになります。シンプルなほうが効果大だと思うのですが。

テレビで選手の表情を見る

 テレビ観戦していますと、監督の表情が映し出されるのも興味深いものです。一喜一憂するタイプ、泰然自若のタイプなど様々で、性格が伝わってきます。「表面上は穏やかでも、腹の中は煮えくり返っているのでは」などと想像するのも楽しみ方のひとつ。監督自身も家族や周囲からよく映し出されることを聞いているため「絶対に鼻に指を突っ込まない」と心掛けている監督もいます。

 選手の表情もいろいろですが、とくに投手。本来「ポーカーフェイス」が望ましいと言われますが、正直に出てしまうタイプは分かりやすいものです。それが四球を出した時。コースを狙い、ある程度意図的な四球には平然としていても、制球がつかず、いわゆるストライクが取れない四球の時に舌を出したり、天を仰いだりのポーズを見せると、結果はよくないケースが多いのも事実。投手と打者は駆け引きが大事ですので、時にはハッタリも必要なのです。また、ピンチを背負った場面で、二死を取った時に派手なポーズを見せますと、次に打たれるケースもよく見かけます。渾身のガッツポーズは三つ目のアウトを取った時がスマートでベストでしょう。

 いつ頃からなのか、ベンチで選手を迎える仕草が「多様化」しています。得点に絡む働きや、好守備を見せた選手に対してのハイタッチは当然なのですが、たまに「え? なんで?」と思うシーンが見受けられます。例えば、安打出塁した選手が盗塁に失敗しベンチに戻った際、ハイタッチで迎えるのには「?」ですね。確かに、安打は評価されるとしても、盗塁失敗でチャンスをつぶしている訳ですから。

 辻発彦監督の現役時代、好守備を披露した後にベンチ裏で「ナイスプレー!」と声を掛けますと、「イージー! イージー!」の返事がお約束となっていました。その意識が向上心につながる、と感心したものです。ハイタッチにもメリハリが必要で「安売り」は見ている側としてもあまり好感は持てません。

現役時代「イージー!」が口癖だった辻監督 ©中川充四郎
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