ペナントレースも残すところ1ヶ月あまりとなり、順位を意識する試合消化数になりました。普通、球宴頃までは最低5割の勝率をもとに、勝ち越しの数を増やすことが首脳陣、選手の共通認識です。なので、早い段階での順位の質問は軽くかわされてしまうものなのです。しかし、上位のチームはこの時期になると優勝、もしくはCS進出が目標になりますので1試合、1試合の重要度が増して順位を意識します。
シーズン開始前の評論家の順位予想では圧倒的にBクラスが多かった西武ですが、ここまで大健闘しています。二ケタ勝利を計算できる岸孝之がFAで楽天に移籍し、クリーンアップにも顔を出せる森友哉は骨折で長期離脱を余儀なくされ、目玉選手の補強もなかったので、この予想は「妥当」ともいえます。
しかし、新任の辻発彦監督の意識改革が浸透し、課題の守備面も大きく改善されました。「勝負の時期」と辻監督が語っていた7月後半からの戦いでは13連勝を飾り、上位2チームを脅かす存在になってきました。好調の原因は先発を含む投手陣の充実と、つなぐ野球に徹している打線がうまくかみ合っていることが挙げられます。また、長年の課題でもあった遊撃手も源田壮亮の加入によって、固めることができました。
炭谷と岡田の併用効果
それと、あまり目立たないことなのですが捕手の併用効果も考えられます。正捕手として炭谷銀仁朗の存在は認められていますが、4年目の岡田雅利も夏場を境にスタメン起用が増えています。辻監督に確かめますと「スタメンは担当コーチに任せてあるので」と。そこで、秋元宏作バッテリーコーチに併用の理由を聞いてみました。
「いろいろ試したいんですよね。二人の良さはそれぞれありますけど、このピッチャーと組ませたらどんなリードをするのか、とか」と秋元コーチ。詳しいことは作戦面にもかかわるので話してもらえませんでしたが、リードによって相手打者の目先を変えることが一番の理由のようです。ファン目線からしますと、今季打撃好調の炭谷のほうが良いのでは、と思ってしまいますが、やはり総合的に見て判断すべきなのでしょう。
真っ赤な炎獅子(えんじし)ユニホームを着て13連勝した時のスタメン内訳は、炭谷が6試合、岡田が7試合でした。連勝中はゲンをかついであまり動かないのが勝負事の鉄則のように言われますが、全然こだわっていませんでした。
今季途中から先発ローテーションに入った岡本洋介。谷間のように見られていましたが、6連勝後1敗(8月23日現在)と大きく貢献しています。この岡本の登板時のスタメン捕手は、3勝目までは炭谷でしたがそれ以降は岡田が3試合続きました。投手個人の連勝中は相性を考慮し、組み合わせを替えないのが一般的な見方ですが、首脳陣の考えを徹底し、冒険して良い面を引き出していました。