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精神面のケアも必要

 秋元コーチの仕事にはこんなことも含まれます。前日スタメンではなかった炭谷について「次の日、家を出る時から『今日はスタメンで頑張るぞ』と気合いが入っていると思うんですよ。でも、続けてベンチスタートの時にはしっかりギン(炭谷)に説明するんです」。一人前の選手として認めているからこそ、精神面のケアが必要なのです。昨季、炭谷の出場試合数は117試合、岡田は47試合でした。今季、113試合を終えた時点で炭谷が89試合、岡田が50試合となっています。ただ、ケガで出遅れた森も捕手として起用される方針です。来季はさらに熾烈なポジション争いになるでしょう。

忘れていませんよね 森友哉 ©中川充四郎

 かつて、強いチームにはドッシリと任せられる捕手が不可欠と言われていました。ところが、今季のパ・リーグの他のチームを見渡しても一人で固定されている捕手はいません。これも野球観が変化している時代の流れなのでしょうか。ケガの多いポジションですので、代わりを務められる選手も求められます。

 西武の黄金期は伊東勤(現ロッテ監督)が完全に固定されていました。ところが、1989年の高知・春野キャンプで右足首の靭帯損傷の大ケガを負ってしまいました。開幕から3ヶ月は無理との見方でしたが、驚異的な回復力で、1ヶ月で復帰しました。しかし、開幕ダッシュがうまくいかず不在の間のチーム成績が悪く結局3位に終わってしまいました。西武は85年~88年、90年~94年とリーグ優勝を果たしていますので、伊東のケガがなくこの年優勝してい「たら」、V10の偉業を達成していたんですけどね。また、90年に中日から大宮龍男を、92年には巨人から中尾孝義をトレードで獲得し、伊東に刺激を与えていました。98年にオリックスの中嶋聡をFAで獲得しましたが、このケースは前の二人の補強とは若干意味合いが異なり、伊東の後継者としてのもの。

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 残り試合、対戦相手チームも含めてスタメン捕手は誰が起用されるのか興味を持って観戦するつもりです。

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