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《五輪開催で恥をかく日本》「妻に怒られまして…」森喜朗会長の“恐妻家しぐさ”にみえる身内至上主義の“マフィア感”

2021/02/11
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「心の中では頭を下げた」と伝える北國新聞

 しかし地元・北國新聞はやさしい。森は、会見では発言を謝罪し撤回したものの一度も頭を下げなかった。その理由を載せている。

《「心配し、応援してくれる人もいるから。心の中では頭を下げた」と述べ、あえて毅然とした姿勢を見せたとした》

 北國新聞は「毅然」という言葉に謝ってほしい。それにしても森喜朗だ。心の中では頭を下げつつ記者に逆ギレしていたことになる。秘技すぎる。森喜朗にはどんなメダルをあげよう。

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 さて、上記の記事であらためてわかることがある。

 森喜朗は家族や身内の女性の話は素直に聞くが、それ以外の女性の話は「長い」と平気で言うのである。異論を封じにかかる。

 ここで気づくのは徹底した身内主義であること。まさに字のごとく「ファミリー体質」であること。それは半径10メートル以内の人間を取り込む政治家とも言える。密集、密接、密閉された空間で力を発揮する。

五輪は「ファミリー」による、巨大なカネを生む「興行」か

 問題は密室性だけではない。

 毎日新聞の山田孝男は《時代錯誤の女性蔑視発言と〈居直り謝罪〉の醜態にもかかわらず、森喜朗(83)はなぜ、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会会長の座にとどまれるのか?とコラムで書いた(2月8日)。

・その秘密は、面倒見のよさで政界随一という、森のこまめな世話役的個性に根差すと私は思う

 

・森に義理を感じている人物が政官界、メディア、スポーツ界に多い。義理があるから森をかばう

 しかし面倒見とか義理で済む話ではないことは、次でわかる。

《「森さんだから、まとまれる」という、うわべの調和の実態は、森を結節点にした利害関係者のもたれ合いである。意思決定は速やかだが、議論は疎まれ、批判は押し潰される》

 単なる義理人情だけでなく利害が絡んでいるのだ。

 こうして身内同士でさらに結束を固め、自分たちの邪魔をする外の人間には抗う。これと同じようなファミリー体質は他にもあった。そうだ、マフィアだ。

聖火を持つ森喜朗氏 ©️AFLO

 そう考えたら「アマチュアスポーツの祭典」というより、巨大なカネを生む「興行」としての五輪をリアルに感じる。IOCはやり手の興行主と考えたほうがよい。偉い人たちからアスリート優先の声が聞こえないのも納得だ。カネ儲け優先の興行主は選手のコンディションより客の財布のほうが気になるものだ。