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特集
どうする保育園。どうなる待機児童。 国会議員、地方自治体トップ、当事者に連続インタビュー

渋井 哲也
2017/10/11

てぃ先生インタビュー「子育てはネガティブな情報ばかり。でも、保育士の仕事って楽しい」――どうする保育園 #7

フォロワー数43万人の男性保育士が発信を続ける理由とは

その子とだけの時間を作る

――保育士と保護者の役割はどのように違うのでしょうか。

てぃ先生 保育士は専門的な知識がありますし、その知識が子どもの日常と結びついています。一方、保護者は子どもの成長に対する見通しを持つよりも、日々を乗り切るのが精一杯です。

 保育園には保育計画があり、この週にはこうなっていてほしい、という目標があります。テーブルに登ったとして、保護者なら叱ることがあると思います。保育士の場合、叱ったとしても、「どうしてテーブルに登ったのか?」と考えることが必要になります。

 また、なかなか本音を言わない子がいます。関心のあるものとないものの行動に差があったりします。その子は人形遊びが好きなのか、ブロック遊びが好きなのかを保育士は観察しています。好きな遊びを私たちがしていれば、勝手に子どもはその遊びの輪に入ってきます。一つひとつに対して保護者に理解を求めています。

批判的意見には発見がある ©渋井哲也

――保育は集団で行われるものですが、一人ひとりへの対応も同時に求められます。

てぃ先生 保育士は大勢の子どもを相手にします。しかし、集団としてしか見ないと、一人ひとりの個性に気がつきにくいのです。そのため、私は一人の子どもと、少なくとも1日に5分以上、向き合うことにしています。トイレに行く時間だけだったとしても、その子とだけの時間を作るのです。そうしないと子どもが見えにくくなって、一人ひとりが埋もれてしまう。どの子も「先生と遊んだ」という満足感と愛情を得られるようにしています。

――保育園では虐待を発見する場合もあるのでしょうか。

てぃ先生 もちろん、グレーなケースはあります。「ご飯を食べているのかな?」とか、「あれは何でできた痣かな?」と思ったりすることはあります。仮に、虐待だと判断した場合は、すぐに園長に報告する取り決めになっています。これまで働いて、実際に虐待されている子どもはいませんでした。

――保育事故も報道されています。

てぃ先生 給食でもプールでの事故もありましたね。以前は認可外保育園で事故が起きやすいと言われていました。しかし、最近は、認可保育園での事故が続きました。「認可だから安心」という認識が崩壊しつつあります。保育士もプロとは何かを自分で考えなければなりません。「保育士とは何か?」という問いに対して、しっかり答えを持っている人が少ないのです。きちんと考えないと報酬面なども含めた今の立場は変わりません。保育士は、子どもが育つことに責任を持つことが求められています。

――最近は、ニコニコ生放送など動画配信をしていますね。一方で、ネットでは批判的な意見もあります。

てぃ先生 Twitterだけでは、部分的な広がりしかありません。いろんな人に伝えるようにしたいのです。特に、若い人に向けて発信するようにしています。まだ子どもがいない若者に、親になること、保育士になることへの希望を伝えていきたいです。子どもを持つこと、子どもに関わることにポジティブな気持ちになってほしい。

(Twitterなどで)批判的な書き込みは見ていますよ。自分と違う意見は自分を成長させてくれます。書いている人も、何か感じることがあって、書いています。批判的な意見には新しい発見があります。Twitterで僕のことをフォローしている人の意見ばかりを見ていると自分が勘違いしますから。

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