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「各項目の冒頭にクイズ…」親が子供の好奇心の現在地を知るための工夫

『小学生なら知っておきたい教養366』(齋藤孝 著)――ベストセラー解剖

2021/03/24
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『小学生なら知っておきたい教養366 1日1ページで身につく!』(齋藤孝 著)小学館

〈言葉〉〈文学〉〈世界〉〈歴史〉〈文化〉〈芸術〉〈自然と科学〉のカテゴリーに分かれた項目を、1日1ページずつ、1年かけて読み進める子供向けの教養書が、続編と合わせてシリーズ30万部超えの大ヒットを記録している。著者は『声に出して読みたい日本語』を始め、数々のベストセラーで知られ、本書はその子供向けの仕事の集大成ともいえる。

「教科書的な勉強よりも遊びの要素を意識し、おもしろがりながら読むうちに、子供の好奇心の現在地を親が知ることができるような本を目指しました」(担当編集者の酒井綾子さん)

 著者と長いやりとりを重ね、こだわりを詰め込んだ。

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「各項目の冒頭にクイズがあるのは、子供の興味を惹くためです。しかも答えは、『ゴッホといえばひまわり』のように、その知識だけでもあれば、とりあえず教養として成立するものを意識しました。また、女性を多く取り上げたのもこだわりです。本書のように偉人を扱った本だと、女性はナイチンゲール、ヘレン・ケラー、キュリー夫人ぐらいしか普通は項目に入らないのですが、クレオパトラや上村松園まで幅広く紹介しています。くわえて『女性』という単独の項目にもしませんでした」(酒井さん)

 高齢者からも、学習やボケ防止のために手に取ったという声が寄せられている。

2019年11月発売。初版1万2000部。現在13刷23万3000部(電子含む)

「各項目の冒頭にクイズ…」親が子供の好奇心の現在地を知るための工夫

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