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【日本シリーズ】異例ずくめの秋季キャンプで感じた、井口新監督の強い意気込み

文春野球コラム 日本シリーズ2017

2017/11/04
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【監督・梶原紀章の自薦コメント】
 私は日本シリーズを記者時代も含めると3回、経験しています。日本シリーズは野球に関わる全ての人に特別なもので、なにかしらの関わりを持ているのは幸せな事です。そういう意味ではやはり外から見ないといけないのは寂しいものがあります。その悔しさはマリーンズの誰もが一緒。だからこそ11月5日に鴨川で行う紅白戦は見てもらいたいです。たかが紅白、されど紅白。悔しさをぶつける一戦。来季のスタートとなる試合です。

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総勢51名 異例ともいえる態勢で臨んだ秋季キャンプ

 日本シリーズ第3戦のナイター中継を秋季キャンプ地の千葉県鴨川市の宿舎で見た。キャンプスタート前日の10月31日は宿舎で全体ミーティングを行うと、それぞれ自室に散らばった。そして多くの選手は特に見たいわけではないだろうが野球人の性としてテレビをつけてしまう。凝視するわけではなく、なんとなく見てしまい、そして今、その華やかな舞台から遠いところにいることをあらためて自覚し、悔しさを身に染みて感じる。そういうものだと思う。だからマリーンズの新監督に就任をした井口資仁新監督がキャンプ前日のミーティングで行ったスピーチの中にも日本シリーズというキーワードは当然、あった。

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「本当はこの時期、日本シリーズで戦っていないといけません。なぜ、ここにいるかをみんな、しっかりと考えてください」

 総勢51名での秋季キャンプ。一部のベテランを除き、リハビリ組も含めてほとんどの選手を招集する異例ともいえる態勢で臨んだ。それは新監督として強い意気込みの表れであり、なんとかして来季は勝ちたいという想いが込められている。

「今年はチームとしても選手個々も全然ダメだった。必然的に秋からやるしかない。勝てなかったのだから、やるしかない。この秋から始まる一年が大事」

秋季キャンプの様子 ©梶原紀章

 野手には「秋は振り込んでもらう」と伝えた。キャンプ初日、9時から始まった練習の野手のランチタイムは14時。全体練習の中で徹底的に振らせた。そして遅い昼食をとってからは個別練習。それぞれの課題に合わせて日がどっぷりと暮れるまで体を苛め抜く。そんな日々となっている。

「毎日、4時間以上、打っている。全体練習だけで1000回以上は打っている。選手によっては一日2000回を超えていると思う」

 練習の最初から最後まで見守る青年監督は満足そうに口にする。

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