村上を外した高橋監督(右はヤクルト・小川監督) ©共同通信社

「何を考えているのか訳が分からない。支離滅裂で、現場からも顰蹙を買ってます」

 ベテラン記者が呆れるのは、10月26日に行われたドラフトの巨人の指名だ。

 まず、8人指名して投手は1位の鍬原拓也(中大、21)だけで、あとは全て野手だ。

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「鍬原もいい投手ですが、早実の清宮幸太郎(18)、九州学院の捕手・村上宗隆(17)の“外れ外れ1位”。今季の巨人の貧打は深刻だったとはいえ、ドラフトで投手1人は異例です。FAで掻き集めればいいと考えているのかもしれませんが、山口俊や森福允彦が今季どうなったかを、もう忘れたのかな、と」(同前)

 さらに、2位(岸田行倫、大阪ガス、21)と3位(大城卓三、NTT西日本、24)で社会人捕手を指名した。

「こんな指名、聞いたことない。巨人の捕手は今季、小林誠司が138試合に出場、打撃のいい宇佐見真吾も頭角を現してきたが、よほど今の捕手が不満なのか……。巨人の捕手は11人体制になりました」(スポーツ紙デスク)

 いったいなぜ、こんな指名になったのか?

「鹿取GMの独り相撲、暴走です」とは、担当記者だ。

「球団上層部からの至上命題は、貧打の解消と松井秀喜以来の甲子園のスター獲得。従来のリスクを避ける姿勢から競合覚悟で清宮を指名したまでは良かったが、クジを外してテンパっちゃった」(同前)

 スターを逃した以上、貧打だけでも解消しようと焦った結果だったのか。

「鹿取さんは前日も『野手中心になる』と言ってましたし、常々『キャッチャーを何とかしないと』と言っていた。で、特にこだわっていた岸田について他球団のスコアラーが流した『3位じゃ残ってない』という情報に惑わされて、繰り上げ指名。清宮を外して、もう失敗できないと焦ったんでしょう」(同前)

 一方で、支離滅裂なドラフト戦略の背景には、こんな事情もあるという。

「原辰徳前監督が1億円問題を抱えたまま退任した際、フロントも一新され、アマチュア球界で信頼されていたベテランスカウトがいなくなった。某高校の監督から『あの人じゃないなら話さない』と門前払いを食らったそうです」(前出・スポーツ紙デスク)

「貧すれば鈍す」というが、その逆もまた真か。