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「辛くなったら人間に成り下がればいい」芸能活動休業の深田恭子 三池崇史監督が贈っていた言葉の意味とは?

2021/06/09
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 このほか、ドラマでも『富豪刑事』(2005年)での超お嬢様の刑事、最近の『ルパンの娘』(2019年・2020年)での泥棒一家の娘など、現実にはありえないキャラクターを数々演じ、いまやこの領域においてほかの追随を許さない。ただ、深田自身はそうした役が目立つことに対し、《なかなか経験できない楽しいお仕事ばっかりやらせていただいて、ありがたく感じながらも、『ルパンの娘』を撮影した次の日に東京ガスのCM撮影でラムちゃん(アニメ『うる星やつら』のキャラクター)を演じたときに、最近普通の子を演じていないなとちょっと不安に思いました(笑)》と語っているように、やや戸惑いも隠せないようだ(※2)。考えてみれば、『ルパンの娘』のヒロインも、自分が泥棒であることに疑問を抱き、普通の結婚生活を求めていた。劇中の演技には案外、彼女の本心も反映されているのかもしれない。

劇場版『ルパンの娘』 公式Twitterより

 2012年にはNHKの大河ドラマ『平清盛』で主人公の妻・平時子を演じるのと並行して、フジテレビ系の主演ドラマ『TOKYOエアポート~東京空港管制保安部~』では空港の管制官というまるで違う役に挑んだ。このときのことを《すごい切り替えでしたね。またそれも、一人で切り替えてるわけじゃなく、メイクをして、髪を整えてもらったりとかの流れがあるからというか》と振り返っているように、彼女のなかには“スタッフがいてこその自分”という意識が常にあるようだ(※3)。

「素の自分は結構ネガティブ」と公言

 仕事を始めた頃は、演じることの面白さがなかなかわからず、正直、芝居をやらされているようなところがあったという。しかし、経験を重ねるうちに、新しい自分を発見できるのが楽しくなってきて、やりがいを感じるようになっていった(※4)。ただ、目標を掲げてそこを目指したり、夢に向かってイメージをふくらませるといったことはあまりしないという(※5)。もともとけっして前向きなタイプではなく、「素の自分は結構ネガティブ」だと折に触れて公言してきた。その理由を深田はこう説明する。

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2000年に主演を務めた映画『死者の学園祭』舞台挨拶にて ©️文藝春秋

《ネガティブな視点から物事を考えたほうが、何事も“ああよかった”と安心できるんです。未来のことはわからないですし、先に高い目標を作ってしまうと、そこに辿り着くまでの壁が余計に高くなる気がして……。私にできることは、その時自分のできる限りの全力を尽くすことだけだと思うんです。だからその日を確実に生きて、明日の自分が笑っていられたらそれでいいです。それが自分の幸せな未来につながればいいなって》(※6)