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「陸王」役所広司が語る「阿川佐和子さんはニクいほど巧い」

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『半沢直樹』のメガヒット以来、名物となったTBS「日曜劇場」の池井戸潤さん原作ドラマに、新たな名作の誕生だ。舞台は埼玉県行田市にある、100年の歴史を誇る老舗足袋会社「こはぜ屋」。需要が激減し経営危機に陥るが、足袋の技術を生かしてランニングシューズの開発に再起を賭ける、というストーリーだ。その社長・宮沢紘一を演じるのは、連続ドラマ15年ぶり主演の役所広司さんである。

「オファーを頂いてすぐに原作を読んだんですが、600ページもあるのにあっという間に読み終えてしまいました。そしてすぐに、やりたいとお返事しました」

 倒産寸前のこはぜ屋の社長や社員たちと、足の怪我に悩む実業団ランナー・茂木裕人(竹内涼真)が、人との出会いによって大きな夢をかなえていくストーリーに、「とてもワクワクした」という役所さん。気になったのは、その顔のちょび髭だ。

「原作では宮沢は静かなキャラクターで、淡々と人を巻き込んでいく点が魅力的なのですが、ドラマでは、愛嬌やユーモアのある社長にしようと監督と話し合いました。立派な人ではなくて、周りに助けてもらって力を発揮する人、という感じを出したくて、髭を生やしてみたんです」

 池井戸ドラマといえば、主人公と悪役の対決が大きな見所。今回はこはぜ屋の邪魔をする大手シューズメーカーの社員に、ピエール瀧さんとお笑い芸人の小籔千豊さんを配置する。

「ピエールさんなんて、顔だけで暴力ですから(笑)。小籔さんとは第1話ですれ違うシーンがありましたが、やっぱり大手会社社員の顔つきだな、と思いました(笑)。今から対決が楽しみですね」

 本誌対談連載でおなじみの阿川佐和子さんも、こはぜ屋のベテラン工員としてレギュラー出演している。

「女優業の経験は少ないのに、ニクいほど巧いんです(笑)。こんな長いセリフ言えなーい、なんて言いながら、スラスラ喋ったりね。それから太陽のような方です。阿川さんがムードメーカーになって、こはぜ屋という会社は明るい雰囲気になっています」

 また、宮沢の息子役に山﨑賢人さん、娘役に上白石萌音さん、前出の竹内涼真さんと、今をときめく若手俳優がずらりと並ぶ。

「みんな若くて、恐れを知らず突っ走っていく勢いがあって、キラキラしていますよね。古いものを守りつつ新しいものを生み出すというストーリーと同じで、新しい彼らのエネルギーは、このドラマに力を与えてくれています。

 池井戸さんのドラマは、弱者に優しいドラマだと思います。壁にぶち当たったり、夢を持てなくなったりしたときにこのドラマを見て、また1週間頑張ろう、と思って貰えたら嬉しいです」

やくしょこうじ/1956年、長崎県生まれ。96年、主演した『Shall we ダンス?』が大ヒット。『KAMIKAZE TAXI』(95年)で毎日映画コンクール男優主演賞を受賞するなど、国内外での受賞歴多数。近年の出演作は、『日本のいちばん長い日』(2015年)、『関ヶ原』(17年)、『三度目の殺人』(17年)など。

INFORMATION

『陸王』
出演:役所広司、山﨑賢人、上白石萌音、竹内涼真、寺尾聰 ほか
原作:池井戸潤
毎週日曜午後9時~、TBS系で放送中(10月22日は選挙特番のため休み)
http://www.tbs.co.jp/rikuou_tbs/