昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「変身しないものは書けない」脚本家・小林靖子が語る特撮と時代劇の未来

「テレビっ子」小林靖子インタビュー#3

北川景子出演「セーラームーン」、松坂桃李主演の「シンケンジャー」。特撮・アニメファンからは“靖子にゃん”の愛称で呼ばれる脚本家・小林靖子さんが、てれびのスキマさんの「テレビっ子インタビュー」7人目のゲストに登場です。全3回の最終回では、アニメと実写との違い、大河ドラマを書くなら? といろいろ伺ってみました!

小林靖子さん

マンガから実写より、マンガからアニメ脚本を書くほうが大変

―― 小林さんは『ジョジョの奇妙な冒険』や『進撃の巨人』など数多くのアニメの脚本も手がけられていますが、『セーラームーン』では「実写ドラマ化」での脚本を担当されました。マンガからアニメというのと、違った作りかたになるんでしょうか。

小林 実写っていっても、三次元の役者を使って二次元を撮っているだけというイメージです。特に次元が変わるから、世界観を作り直してとか、そういう作業はないんですよ。むしろ、マンガ原作のアニメ脚本を書くのが意外と大変。

―― どのあたりが難しいんですか? 

小林 実際に絵コンテを描いている人でさえ気づいてなかったりするんですけど、マンガを映像にすると“疑似三次元”になる。たとえばですね、「時間」が生まれるんですよマンガからアニメに映像化した時に。

―― 「時間」が生まれる?

小林 マンガをページをめくりながら読んでると、時間経過とか距離移動とかあんまり気になりませんよね。でも映像にした途端、画の中に奥行きが出るのと、映像なので時間がどうしても流れるわけです。それが実はコマとコマの間ですごく重要な細部になったりする。例えば『ジョジョ』なんかだと、ジョジョがいつまででも走りながら、ずっとしゃべってるんですけど、実写では「この人、どこを走ってるの?」ってなってしまうから映像的な処理が必要になるんです。ちゃんと映像に翻訳して落とし込まないといけない。この人はどれくらいの距離を走っているんだろうと測ったりもします。ホントに細かい設定なんですけど、そういうところからキャラの心情描写を書きこまなければならないんです。

―― 基本的なことで恐縮なんですけど、小林さんはアニメの「シリーズ構成」をたくさんされています。この「シリーズ構成」というのはどういう仕事なんですか?

小林 例えば今回1クールでこの原作のこの回からこの回までをやりますって決まったら、「じゃあ第1話に原作のどことどこをどう入れていくか」という割り振りを決めます。たとえば週刊誌連載の漫画3週分を、実質20分のアニメ1話分にそのまま収めると、20分の中で3回はヤマ場ができちゃうんです。なぜかというと、週刊誌連載は1回ごとにヤマ場があるから。これだと、グチャグチャの落ち着きのないアニメになっちゃうので、連載3週分の話をうまくクライマックス1回の話に調整する――そんなふうに頭をひねるという仕事ですね。

―― 平均化するような作業なんですね。

小林 いくら原作ファンに「あのセリフを落としやがって」とか「変えやがって」って言われようが、やっぱりアニメとして面白くするというところに専念します。