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【暴走事故はなぜ繰り返されるのか?】伊藤健太郎はなぜひき逃げ現場から逃げたのか?「彼は『快感原則』に支配されたまま大人に」《精神科医が分析》

【暴走事故はなぜ繰り返されるのか?】伊藤健太郎はなぜひき逃げ現場から逃げたのか?「彼は『快感原則』に支配されたまま大人に」《精神科医が分析》

2021/06/29
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木村拓哉が物損事故を起こしたときの対応

 報道によれば、伊藤さんは元SMAPの木村拓哉さんを尊敬していたそうです。木村さんは2017年6月に自動車を運転して赤信号で停車していた際に、不注意によりブレーキが緩み、前方停車中の車両2台への玉突きとなる物損事故を起こしたことがありました。その際は直ちに本人が警察に連絡し、警察の指示に従った対応を済ませたとのことです。事故の状況や程度に違いはあるものの、一般に「現実原則」に移行した大人であれば、その時々の状況を冷静に判断し、どう行動するのが自分にとって一番「不快」を少なくできるかを考えようとします。木村さんはこの「現実原則」に則って対応できたが、伊藤さんは尊敬する木村さんと同じ行動は取れなかったということです。

木村拓哉 ©文藝春秋

 また、伊藤さんは普段から嫌なことから逃げるタイプの人間だったとも報じられています。育ての親ともいえるマネジャーの「忠告」も無視し、本人のためを思って、素行の悪さをたしなめてくれる周囲の人間も遠ざけてしまった。とりあえず目の前にある「不快なこと」を避けて、その場から逃げてしまうのは「快感原則」に支配されている人間の典型的な特徴です。

 伊藤さんはもう23歳。普通だったら「現実原則」に移行していて、当然の年齢です。しかし、彼は14歳のころにはモデルデビューし、さらに若くして人気俳優の仲間入りをした。「快感原則」を「現実原則」に移行させるだけの苦労を知らないまま、年だけとってしまったのだと思います。

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元モー娘。吉澤ひとみとの共通点

 2018年9月、元モーニング娘。の吉澤ひとみさん(35)が飲酒運転をしていた際に、横断歩道を渡っていた2人の人間をはねる、ひき逃げ事件を起こしたことがありました。今回の伊藤さんのケースと類似性を指摘できる事件です。

吉澤ひとみ(2011年) ©文藝春秋

 2人の共通点はまず「若くして売れた」ということ。そして、「快感原則で行動した」ということが挙げられます。2人のように若くして売れて、あまり下積み経験のない芸能人というのは、「自分は特別な人間だから少々のことなら許される」という、根拠のない特権意識を持ってしまいがちです。もちろん、それがすべての芸能人に当てはまるわけではありませんが、どうしても陥りやすい陥穽ではあるのです。

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