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高齢者を青酸カリで次々に殺害した“筧千佐子”の意外な過去「子供2人とも私立大学に通わせた」「分家の嫁として虐げられ…」

『連続殺人犯』より#3

小野 一光 2021/08/16

 

「平気で墓に尻を向けて座っとって…」

「それで義人さんがその女の人にマンションを買ってあげるために、購入資金を出してほしいと言われて、娘さんは嫌がってはったんですけど、ある土地を売って、彼女に××公園の近くにある億単位のマンションを買ったんです。マンション買うまでに、付き合って1年経つか、経たないかでした。で、マンションを買って間もなくして義人さんが亡くなったと聞いて、びっくりしました」

©iStock.com  ※写真はイメージです

 北山さんが亡くなった翌年に、千佐子は兵庫県南あわじ市の(3)笹井幸則さんと交際を始める。最初の妻との間に娘2人を儲(もう)けるも離婚し、その後再婚した相手と死別していた笹井さんの“妻”として、千佐子は乳牛品評会や農業共済OB会の九州旅行などに同行していた。近隣住民は呆れ顔で語る。

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「田んぼの作業をしよっても、あの女(千佐子)は横に椅子を出して座り、ただ見よるだけで、手伝いもせんかった。先祖代々の墓の前で、平気で墓に尻を向けて座っとって、変わった人やのう思いよったわ」

 笹井さんが亡くなったのは05年3月のこと。彼が牛舎で倒れているのを発見し、119番通報をしたのは千佐子だった。彼女は49日までは笹井家にいたが、彼の末弟が金額を決めて財産の一部を渡したところ、それ以降は姿を見せなくなったという。

 そして05年夏には神戸市の(7)末松清人さんと交際を始める。千佐子は彼との交際を続けながら、06年5月に西宮市の(4)宮田靖さんと入籍。宮田さんは同年8月に死亡した。宮田家を知る人物は言う。

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「もともと夫婦で薬局をやっていたんですけど、奥さんが亡くなったんですね。それでしばらくして、別のおばちゃんが家に出入りするようになってました。それからわりとすぐに、宮田さんが亡くなったんです。そのあとも家は夜に電気が点いたりしてましたけど、すぐに所有者が変わったんです。近所では、あのおばちゃんが売っ払ったんだろうと噂になってました」

 宮田さんと入籍していた千佐子は、彼の死亡後に土地と建物を自分名義にし、少なくとも約9400万円で売却している。

 後の裁判で明らかになったことだが、翌07年までに千佐子は、高齢者を中心とした多数の顧客に対して、海外先物オプション取引の勧誘をして社会問題化した『××インターナショナル』という会社に、約3億円を注ぎ込んでいた。彼女は末廣末松さんからも約4000万円を投資資金として預かっており、その返済を約束した同年12月、彼に青酸化合物入りのカプセルを飲ませたのだった。

genre : 読書社会