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ハロプロ、48グループの不在…日中韓オーディション番組でわかった「アイドル戦国時代」の儚さ《『ガルプラ』でも韓国勢リード》

2021/08/20
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少ない日本のグループアイドル出身者

 日本でもアイドルが芸能プロダクションを移籍して再デビューするケースはあるが、K-POPほどのダイナミズムはない。今回の企画でも、日本のグループアイドル出身者は少ない。

 確認できる範囲では、元X21(オスカー)の川口ゆりなと元革命少女(ローカルアイドル)の桑原彩菜、元Prizmmy☆(エイベックス)の久保玲奈、そして元さくら学院(アミューズ)でBABYMETALのサポートメンバーを務めていた岡崎百々子の4人だ。事前審査で落とされた可能性もあるが、00年代の「アイドル戦国時代」の残滓はまるでない。

 とくに残念なのは、すでに解散したE-girlsやフェアリーズの元メンバー、あるいは『プデュ48』で厳しく評価された48グループや、実力派だと目されているハロプロのメンバーなどが参加していないことだ。もし参加していればHKT48(+AKB48)からIZ*ONEにステップアップした宮脇咲良のように、大きなチャンスを掴む可能性もあったはずだ。

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実力とともに重視されるスター性

 日韓中の参加者によるお披露目パフォーマンスは、「K-POPマスター」と呼ばれるパフォーマーや振り付け師が評価していった。K-POPの大先輩であるマスターは、トレーナーとして彼女たちを指導する立場だ。

 今回その中心にいるのは、少女時代のティファニーと、元ワンダーガールズのソンミだ。ともに2007年にデビューして大ブレイクした両グループは、現在に続くK-POPガールズグループの基礎を築いたような存在だ。現在もソロで活躍するふたりは、10代の頃から切磋琢磨してきた関係だ。

 ふたりの評価基準は、とても興味深いものだった。

 ティファニーは「実力とディテール」、そして「表現力」を重視し、かなりハッキリと参加者にコメントする。ただ、その多くはヴォーカルやダンスの技術的な側面についてで、ドライかつ論理的に改善点を淡々と指摘する。対してソンミは、参加者の「オーラ」や「雰囲気、元気さ」に注目する。ある参加者に対しては、「才能はあるんだけど、オーラを感じられない」とまで言う。