文春オンライン

大戸屋に呼び出され「1年後あんたなんか消えてる」 益若つばさ35歳がPopteenカリスマ読モ時代に受けた“ギャルの洗礼”

益若つばささんインタビュー #1

2021/09/07
note

「何系の何者か」になっていないと変だった

益若 今でこそ多様性の時代ですけど、90年代後半から00年代前半の当時は、自分をどこかにカテゴライズして「何系の何者か」になっていないと変だったんです。

――当時は『CanCam』などのコンサバ系ファッション誌は「赤文字系」、個性的な『CUTiE』は「青文字系」といったように、女性の見た目でカテゴライズ、セグメントされていました。

益若 その中でも「ギャル」は自由を貫いていて、“男ウケ”じゃなく“自分ウケ”を目指している感じがすごく好きで、私は憧れていたんです。元気でサバサバしてて、思ったことを何でも口にする。放課後はサークルの仲間と一緒にパラパラして……みたいな。

ADVERTISEMENT

 

 だけど私は踊れないし、外にいるより家でお菓子を作っているのが好きで、人の顔色を窺いながらしゃべるような性格でした。最初にスナップ写真が載ったのも、実はギャル系雑誌の『Popteen』ではなくて、正統派の『Seventeen』でした。

ハガキ投票の『Popteen』読者アンケートで1位に

――ギャルとは真逆だった益若さんがどうやって「ギャルのカリスマ」になっていったのでしょう。

益若 日サロの店員になって、とりあえず見た目はギャルっぽくしてったんですよ。それとさっきも話したように中途半端だったので、とにかくどこかに属したくて。本当はお人形っぽいファッションが好きでしたが、自分の好みより、肌を黒くしたりCOCOLULU(ギャル系のブランド)の服を着たりして、ギャルとして求められるスタイルをやっていくようにしていました。

 そうこうして2年経ったくらいに、『Popteen』で2ページまるまる自分の好きなことを発信できる企画のチャンスが巡ってきたんです。で、私はその日2時間かけて19ミリのコテでグリグリに巻いた髪にリボンをつけて、赤のギンガムチェックの洋服にペロペロキャンディを持参して、「お人形みたいに撮ってください!」とお願いしました。ちょっと恥ずかしかったけど、自分の好きを「これでもか!」と詰め込んだんです。そのページが読者アンケートで1位に選ばれたんですね。当時ハガキの投票だったと思うんですけど、そのランキングが編集部に貼り出されるので、他の読モの子たちも見てるんですよね。びっくりしたしうれしかった。編集部の人たちは正直私にまったく期待していなかったみたいで、「競馬でいうと大穴だよ」と言われました。