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「殿下の瞳の奥がきらりと光った」“ヌード界の宮崎美子”が明かす「意外過ぎるお客さんたち」 ヤクザに坊主、ロイヤルファミリー…《キャバレーの文化史》

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『エロチカ・バンブーのチョットだけよ』#2

2022/01/03
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キャバレーに歓声「観音様が現れた~」

 それでもある夜店長さんが楽屋に見え、「すぐに呼びに行くので少しの間だけついてくれませんか」と言われ、客席へ向かいました。するとそこには袈裟を着た僧侶の団体さんがいらっしゃいました。そのときのショーはオリエンタル風。バーレスクの面白いところは“何々風”を作ることです。そのものをそのままやるのではなく、デフォルメし、その人オリジナルに昇華させるのがバーレスクだと思っています。だからカルメン風、アラビアンナイト風、芸者風、映画『愛の嵐』のシャーロット・ランプリング風などなど、インスパイアされながらも、そこに踊り子さんの持つ独自のアイデアを加え、見たことのないものを作るのが面白さだったりします。

新人時代の野口千佳さん

 そのときの私のショーはどこか多国籍な中近東やバリ、インドと和物がざっくり混ざったような確かに少しピンクな極楽浄土を想像させるようなショーでした。そのショーを見たお坊さんたちが「ぜひ私を席に呼んでほしい」とご指名してくださったのです。着席すると、お坊さんたちは「どうぞどうぞ、こちらへ」と私を招き入れ、座った途端に「観音様が現れた~」と言って拝まれました!

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 自分の観音顔は自覚していましたが、子供の頃よりこの和風な風貌にコンプレックスを持っていました。だからこのコンプレックスだった純和風の観音顔がキャバレーでありがたがられるなんて思ってもみませんでした。これぞオリジナル。もちろんお布施(チップ)もど~んといただきました。約束通り完璧なタイミングで店長さんが私を呼んでくれて私はそのお席から楽屋に戻りました。あっぱれキャバレー月世界。

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