2021年12月18日に発表した「好きな芸人2021ランキング」で1位に輝いたニューヨークの2人。「誰も傷つけない笑い」が世間にもてはやされるなかで、“皮肉と偏見”全開のニューヨークが若年層の圧倒的な支持を得てトップに立ったことにはどんな意味があるのだろうか。

 2人が考えるお笑いの今後、そして若者たちへのメッセージとは。(#1から読む)

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――これはニューヨークさんや、もしかすると文春にも共通する問題なのかもしれませんが、やっぱり人の嫌なところ、あまりいじってほしくないところをフィーチャーするネタをしていると、全方位にウケるわけではないですよね。そのラインの見極めって特に芸人さんは気を使うところではないかと思うんです。たとえばジェンダーの感覚とか、お2人はそういう感覚の更新や世間とのすり合わせをどのように考えていますか。

「牙をむく相手は自分より強い相手にしたい。さんまさんとか」

嶋佐:ざっくばらんにネタを考えて思いついた時には、これを入れるべきか変えるべきか、やっぱり一瞬は考えますよ。これはこんなふうな感じでは言わないほうがいいなとか。

ニューヨークの嶋佐和也さん(左)と屋敷裕政さん(右) ©文藝春秋 撮影・鈴木七絵

屋敷:ネタとかはそうよね。バラエティとかでも、牙をむく相手は絶対自分より強い相手にしたいんですよ、かっこいいように言うと。(明石家)さんまさんとか。

嶋佐:でも噛み付いたら噛み付いたで、「さんまさんに対して失礼だ」っていう苦情が視聴者から来たりして。やっぱそのねじれをね、打破しないとね。

 

――なるほど……M-1の時の「最悪や!」発言にも繋がる(2019年のM-1で審査員の松本人志がコメントしている最中に屋敷が「最悪や!」と叫んだ出来事)。

屋敷:自分より絶対強いやつに噛み付くっていう流儀で一応やっとんのに、それでも怒られるっていう。それが厳しいですね、本当に。弱いものイジメはしたことないと思うんですけど。