文春オンライン

「血圧の低下や失禁などを伴い、生命に関わる危険性も」食べる・吸う・触れるなどの日常行為で発症しうる“食物アレルギー”のリスク

『大人の食物アレルギー』より #2

2022/03/17
note

 納豆によるアナフィラキシーは、納豆を食べた後5~14時間後に全身性のアレルギー症状が出ることが多くあります。原因は、納豆の粘り成分であるポリガンマグルタミン酸にあります。

 先述のアニサキスアレルギーは、魚介類に寄生している回虫の仲間の寄生虫アニサキスに対するアレルギーにより症状を引き起こすものです。アニサキスの寄生率が高いイカ、サバ、アジなどを、寿司や刺身など生で食べる習慣があるため、日本での有病率は高いといわれています。

 マダニ咬傷関連の獣肉アレルギーは、マダニに咬まれた傷から体内に入った唾液に含まれる糖鎖α - Galに感作された人が、さらに糖鎖α - Galを豊富に含む獣肉を食べた後3~6時間後に発症します。

ADVERTISEMENT

圧倒的に多いのは皮膚症状

 食物アレルギーは、 「食べる」 「吸う」 「触れる」といった経路で食物に含まれるアレルゲンが体内に入ったために生じるものです。

 引き起こされる症状は、皮膚・粘膜系、呼吸器系、消化器系、循環器系に分かれます。

 このうち、即時型成人食物アレルギーの症状として圧倒的に多いのは皮膚症状で、次いで呼吸器症状、粘膜症状、消化器症状、ショック(循環器)症状の順で続きます。

 皮膚症状がない、あるいはきわめて軽微にもかかわらず、アナフィラキシーなど全身に及ぶ深刻なショック症状に至る場合も稀ではありません。

 アレルギー症状の程度は、その時の体調によっても違います。寝不足や疲れ、他の疾患での鎮痛薬の服用などは、症状をより悪化させる要因になります。万が一重い症状が出た時の対処法を、あらかじめ医師に確認しておきましょう。

最も重症で、一刻を争うアナフィラキシー

 アナフィラキシーは、食物を摂取した後にアレルゲンが体内に侵入し、皮膚、呼吸器、消化器などの臓器に複数かつ同時に、全身にわたってアレルギー症状が起きるもので、最も重症です。