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“バブル”は別の顔をしてやってくる――エコノミストが解説する今必要な知識とは

2018/05/07
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近未来のバブルは海外からやってくる

 現在の金融市場の風景は、資産バブルとは180度反対の「流動性の罠」の色彩もある。皆が安全資産をいくらでも持ちたがり、金利がゼロ%から離れない。これはイールド(利回り)の消滅と言われる。しかし逆にリスクテイカーにとっては、皆が弱気の時ほどリスク資産を割安に買うチャンスと映る。流動性の罠は、バブルの原因にもつながっていく。

 筆者の予想では、近未来の日本で起こるバブル現象においては、海外から超強気派が来るのではないかとみている。海外バブルで懐が温かくなり、投機を仕掛ける資産の余力が大きい投資家、企業である。そのとき、多くの日本人がフォロワーになっても何も不思議はない。

 実は、80年代バブルもそうだった。米国の市場開放圧力により、海外金融機関の在日支店が多数開設された。87年に日本に所在する外資系企業の8割が東京に立地し、81~85年に東京で竣工したビルの24%を外資系が占めた。当時、外国人向けマンションは月100万円超が珍しくなく、都心一等地の住宅価格をせり上げた。80年代バブルの前史を調べると、土地神話の前に国際化で東京が生まれ変わるという熱気が未来を極端に強気にみせたという経緯が浮かび上がってくる。

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 今、東京都心の地価は、06~07年のミニバブルの上昇を追いかけるように上昇している。背景にある東京都心の再開発は、五輪後に完成するものも多い。そこには五輪を跳躍台にして、海外から進出企業や観光客を呼び込もうという構想がある。現在でも、インバウンド向けの施設が圧倒的に足りないという声は大きい。17年の基準地価は、京都と大阪の商業地がインバウンド関連で急上昇している。