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箱根駅伝のあまりに細かすぎる楽しみ方――ディープな箱根駅伝座談会 #1<br />

箱根駅伝のあまりに細かすぎる楽しみ方――ディープな箱根駅伝座談会 #1

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「高野コーナー」とは、2011年の6区で早稲田の高野寛基選手が、凍結した路面に足を取られスライディングのように横滑りしたコーナーのこと

6区「高野コーナー」を知っていますか?

西本 ただ、地図だけでは「さすがに本になりません。ページが埋まりません」と泣きつかれまして。それで、できたのが巻末の用語集です。

 ツイッターを通じて、箱根駅伝を楽しむために知っておいたほうがいい言葉を募集しました。6区「高野コーナー」と突然言われても、みなさん知らないでしょうからね。そうやって集まった用語に全て解説を書いていったら、4ページのつもりが、14ページにまで達してしまい、自分の首をしめるはめになりました。とはいえ、さすがに自分たちも売れるとは思ってなかったし、もちろん出版社の人も思ってなくて、EKIDEN Newsで返本分を買い取って、Amazonで10年かけて初版を細々と売っていこうかと思っていました。

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ポール ちょろちょろ、ちょろちょろと……。 

西本 そんな誰からも期待されていなかったこの本が、ふたを開けてみたら、書籍登録もしていないのに、マニアたちが見つけ出して、ネット書店で売り切れるぐらいの予約が入りまして。それを受けて、発売前に2回増刷が決まりまして。でも、売れた売れたと喜んでいたら、まさかの落とし穴! 印税契約をしてなかったので、我々に入ってくるお金は微々たるもので、これまたびっくり。出版の闇は深いです(笑)。

マニア そうなんですか(笑)。

西本 もうひとつ、今回この本を作って分かったことがあるんです。それは、箱根駅伝にさほど興味が無い方々と箱根本を作るといろいろ大変なことになる……。

2017年の箱根駅伝1区 ©文藝春秋

「山梨学院のロゴは明朝体に変わったから!」

西本 何が大変だったかと言いますと……例えば表紙の東洋大学のユニフォーム。デザイナーの方も、がんばって画像検索してくれたと思うんですよ。ただ箱根駅伝にさほど興味が無い方が“東洋大学 陸上部 ユニフォーム”で検索をかけると、ほぼ100%桐生祥秀選手が出てくるんですよ。桐生選手はアシックス、同じ東洋でも駅伝はナイキだから!と。つまり、同じ東洋大学でも短距離と長距離ではユニフォームのメーカーが違うんです。

ポール それは事故ですね(笑)。

西本 大炎上です。中央大学のナイキマークは黒だから! 駒澤はナイキマークだけで、横のモヤモヤは今年はないから! 国士舘大学のユニフォームは今年は予選会から国士舘大学とフルネームになってるから! 上武大学のパンツは右横にライン入るから! 東海大は今年の出雲駅伝からユニフォームそのものが変わったから! 山梨学院のロゴは今、明朝体に変わってるから!……。

ポール そうそう、山梨学院は書体変わったよね!

西本 なので何度も画像を送ってあれこれ注文していたら、編集とデザイナーの方が「何をおっしゃっているのか意味が分かりません」と(笑)。

マニア わはははは!

西本 だから、箱根湯本の駅前は地下道じゃなくて、歩道橋になったから!

マニア わはははは! ニュースさんは毎年、そこから5区のコースを走ってるから妙に詳しいし(笑)。