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マシソン、マイコラス、ウォーカー…入団時の期待値が低いほど応援したくなる外国人選手の法則

文春野球コラム ペナントレース2022

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ポランコがウォーカーほど話題にならない理由

 引き合いに出して申し訳ないのですが、メジャー通算96本塁打の触れ込みで巨人にやってきたグレゴリー・ポランコは、ウォーカーほど話題になっていません。それでも、ここまで年間通して1軍戦力になって19本塁打を放っており、守備面を含めれば貢献度はウォーカーをしのぐはずです。

 この現象を目の当たりにして、僕は2014~2016年に在籍したレスリー・アンダーソンを思い出しました。来日1年目には打率.319、15本塁打をマークするなど、まずまずの成績を残した選手です。にもかかわらず、ファンの記憶に残っているのは前年まで在籍したジョン・ボウカーのほうが圧倒的でしょう。数字より印象が上回ってしまう、皮肉な現象だと感じます。

 入団時の実績があればあるほどメディアは煽り倒し、ファンは「活躍してもらわないと困る」という目で見てしまうもの。一方、入団時の期待値が低ければ低いほど、「思ったよりやるじゃん」と温かい目で応援できます。

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外国人選手を「育てる」という発想

 近年の巨人はウォーカーだけでなく、実績度外視で外国人選手をスカウトするようになってきました。その最たる例は、ドミニカ共和国出身のC.C.メルセデスです。トライアウトを経て2017年に育成選手として巨人と契約し、通算29勝を挙げています。昨年の東京五輪・日本戦での好投を見た時には、「普段はここまでスピードが出ないのに……」と戦慄を覚えました。

 巨人のドミニカ人選手育成戦略は、今も続いています。2021年には当時16歳だった2人のドミニカ人選手(ホセ・デラクルーズ、フリアン・ティマ)と育成選手契約を結び、現在はファームでじっくり育てています。

 僕はヨーロッパサッカーも好きなのですが、MLBはレアル・マドリードやバロセロナのようなビッグクラブ。現実的な規模を考えれば、巨人はヨーロッパの中堅クラブのようなものでしょう。若くて将来有望な選手を獲得し、ビッグクラブに売るのもクラブの生きる道だと感じます。

 MLBで最多勝利を獲得するほど出世したマイコラスのように、巨人で花開いた外国人選手がMLBでも爆発する。そんなシーンを見るのも、また痛快だと思うのです。もちろん、若くして来日して「巨人に骨を埋めたい」と長くプレーしてくれる外国人選手も大歓迎です。

 これからも巨人を愛してくれる外国人選手、ファンに愛される外国人選手の出現を心待ちにしています。

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