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巨人ファンは“村上宗隆の184三振”を耐えられたか? 育成と我慢について考える

文春野球コラム ペナントレース2022

 巨人ファンのみなさん、いかがお過ごしでしょうか。巨人は8月1日現在5位に沈んでいる状況ですが、メンタル面のお加減はいかがですか?

 僕はというと、結構なダメージを負っています。巨人の敗戦がかさむたびに「うわぁ、負けた」「また負けた」……と、メンタルが蝕まれています。近年で言えば2017年の13連敗(球団ワースト記録)を思い出すような、暗黒の日々です。

「巨人は常勝軍団」「毎年優勝を義務付けられている」……そう評された時代もありました。でも、現実は前年の覇者であるヤクルトに独走を許し、日本一からは9年も遠ざかっています。「このままでいいのだろうか?」という思いが頭をもたげてきます。

大補強を繰り返してきた巨人

 おそらく多くの野球ファンからは、「どうせ巨人は大型補強するんだろ?」と思われていることと思います。

 事実、今まではそうでした。原辰徳監督就任以降に絞っても、勝てなかった年のオフは大補強を敢行しています。4位に終わった2006年オフには小笠原道大さんをFAで、谷佳知さんをトレードで獲得。リーグ優勝しながらCSでつまずき日本シリーズ進出を逃した2007年オフは、アレックス・ラミレス、セス・グライシンガー、マーク・クルーンを獲得。前年の打点王、最多勝、最高球速の3人を迎え入れ、賛否両論を巻き起こしました。

 さらに2年連続3位に終わった2011年オフには村田修一さん、杉内俊哉さんの投打の両輪をFAで獲得。第三次原政権が誕生した2018年オフには丸佳浩選手、炭谷銀仁朗選手(現楽天)をFAで獲得。大補強した翌年は、いずれもリーグ優勝を飾っています。「勝って当たり前だ」と見る人がいるのも、仕方がない補強ぶりでした。

 でも、ひとつ言わせてください。野球はいい選手を集めたからといって、勝てるわけではありません。巨人に限らず、これまで大型補強をしながら機能しなかったチームは数多くありました。そんななか、着実にリーグ優勝へと導いたのは原監督の手腕ではないでしょうか。優勝できる戦力を預かって、実際に優勝する。それは稀有なマネジメント能力ではないかと思うのです。

 ただし、今や補強のトレンドはFAではなくなりました。脂の乗った大物選手は海を渡ってMLBを目指し、2020年にヤクルトと7年契約を結んだ山田哲人選手のようにどの球団もスターの引き止めに必死です。かつての小笠原さんクラスの選手がFA市場に現れるのはほとんどなくなりました。

 つまり、今の巨人はFAではない方向でチームを強化するしかないと思うのです。そう、「生え抜きの育成」です。

 今のヤクルト、オリックス。2016年からリーグ3連覇した広島。黄金期を作ったチームはいずれも、主力選手が一人前に育つまでBクラスの苦しい時期を過ごしています。2018年からリーグ連覇した西武も7〜8年優勝からは遠かっていました。我がジャイアンツも直近の勝敗を度外視した、長期的で骨太な育成をする時期がきたのではないでしょうか?

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