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マシソン、マイコラス、ウォーカー…入団時の期待値が低いほど応援したくなる外国人選手の法則

文春野球コラム ペナントレース2022

 8月25日、東京ドームにスコット・マシソンが視察に訪れました。阿部慎之助コーチと談笑するシーンを見て、3年前の記憶が蘇ります。2019年の阿部コーチの引退試合、4年ぶりにマスクを被った阿部コーチに唯一ボールを投げ込んだ投手こそ、来日して初めて先発登板したマシソンでした。マシソンを指名したのは阿部コーチ自身。国籍の壁を越え、いかにマシソンが慕われ、信頼を得ていたかを実感しました。

 僕は「マシソンこそ、巨人史上最強の外国人投手」と考えています。2012年から2019年までの8年間で421試合に登板し、174ホールドは外国人選手の最多記録。日本文化に見事に溶け込んだ人間性を含め、ファンから愛されました。

 引退した今はアメリカで巨人のOBスカウトを務めるマシソンですが、自身のように日本野球に順応できる選手を連れてきてほしいと願わずにはいられません。

なぜ巨人の外国人は「外れ」が多いのか?

 どんな選手であっても、プロならファンがいるもの。本来なら「当たり」「外れ」などと評するべきではないのでしょう。それでも、外国人選手の活躍はチーム成績に直結しやすいだけに、「当たり」「外れ」がクローズアップされてしまいます。

 そして、巨人がこれまで自前で連れてきた外国人選手はというと、「う~ん……」とうなってしまう年が多かったのも事実です。いいか悪いかは別にして、大金を積んでNPB他球団の外国人選手を連れてくるのが得意なチームでした。

 巨人が自前で連れてくる選手の多くは、「メジャー通算◎本塁打の大砲」といった見出しになりやすい実績のある選手です。でも、いくらMLBで成績を残した選手であっても、日本で活躍できるかはわかりません。「メジャーリーガーはプライドが高く、日本球界でスタイルを変えるのが難しい」という声も聞いたことがあります。

 前述のマシソンやマイルズ・マイコラス(現カージナルス)のように複数年にわたって活躍した選手の顔ぶれを見ると、むしろ「メジャー実績はなくてもいいんじゃない?」と思えます。今季、巨人にやってきたアダム・ウォーカーの活躍を見て、その思いはより強くなりました。

ウォーカー

 ウォーカーのメジャー出場実績は0。アメリカの独立リーグから日本に流れ着いた選手です。スローイング難という致命的な弱点がありながら、亀井善行コーチとの二人三脚の猛特訓で少しずつ改善。6月28日の中日戦、バックホームでランナーを刺すシーンにまぶたが熱くなったファンも多かったことでしょう。

 文春野球をはじめ、ウォーカーについて書かれた記事は多くの読者に読まれ、ヤフコメも白熱している印象があります。たとえ鳴り物入りでなくても、わかりやすい欠点があっても、懸命に頑張ってくれれば応援できる。ウォーカーの成功は、そんなことを教えてくれます。

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