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「僕は性別を変えて、兄の精子で子作りしたんです」とママ友には説明…トランスジェンダーパパ(38)の日常とは?

「僕は性別を変えて、兄の精子で子作りしたんです」とママ友には説明…トランスジェンダーパパ(38)の日常とは?

石川まさきさんインタビュー #1

2022/09/24
note

――今の説明を聞いただけでもなかなか送り迎えの立ち話では終われないですよね。ちなみに、妻を「パートナー」と呼ぶのは前からですか?

まさき お店をはじめたばかりの頃はお客さんに「彼女はいるの?」とかって聞いていたんです。そうすると、「男女どっちもいけます」とか男性のお客さんから「僕は彼氏がいるんです」って返ってくることがよくあったので、聞き方に気をつけようと思って「パートナー」にした経緯がありました。それが染み付いて、自然と妻のこともパートナーと呼ぶようになったんです。

「それはどういうこと?」と聞き返す毎日

――見た目だけでは、その人がどんな方を好きなのかはわからないですもんね。

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まさき レインボーカラーはセクシュアルマイノリティの象徴ですけど、今は「色」の数が増えて、当事者でも追いつけないくらい多様になりましたね。

――性的少数者を指す「LGBTQ+」の「+」は、「LGBTQ」に当てはまらない、それ以外の性という意味だそうですね。

まさき 30代後半の僕の感覚なんですけど、長らく「LGBT」で止まっていて、そこから「LGBTQ+」になり、ここ数年で男性/女性どちらにも区別されたくない「Xジェンダー」、他者に対する性的欲求を持たない「エイセクシュアル」という言葉が出てきた感じがあって。

 お店にも日々いろんな方が来てくれるんですけど、「私はエイセクの●●寄り」と言われて、「そうなんだ~。で、それはどういうこと?」って聞き返す毎日です(笑)。

 

――聞き返すわけですね。

まさき そうですね。やっぱりわからないんで(笑)。「ごめんなさい。わからないからいろいろ教えてもらっていい?」みたいな聞き方をするようにしています。

――わからなければ聞けばいい、と。

まさき あくまで僕の場合ですけど、セクシュアリティについて聞かれるたびに罪悪感を持ったり傷ついたりするくらいなら、オープンにしてきちんと説明しようと思ったんです。もちろん、隠していたほうが楽なときもあるので、ケースバイケースではありますが。

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