結婚8年目のある日、夫に「中身が女性」だと告白された妻。
エッセイ漫画「夫は実は女性でした」で描かれるのは、妻で作者である津島つしま、夫であったわふこが一緒に歩んでいこうとする姿だ。
ふたりの出会いや結婚するまでの軌跡、つしま氏が感じていた夫のジェンダーに対する予感、男性として生きてきたわふこ氏が抱えていた苦悩などについて詳しく話を聞いた。(前後編の前編/後編を読む)
高校以来の再会は「藁にもすがる思いだった」
――高校以来となった2011年の再会が、おふたりが交際し、結婚するきっかけになっています。つしまさんが発達障害で悩んで弱っている時にクラスメイトだったわふこさんに連絡して再会、その夜は抱きしめられながら寝たと。そこから会うようになって現在に至るわけですが、お互い強く惹かれ合うものがあったのでしょうか?
つしま あまりにも弱っていてワァ~ッとなっていたので、そんなに記憶が鮮明ではないんですよね。
――もう、藁にもすがる状態というか。すがりがいのありそうな藁が、わふこさんだった。
つしま そうですね、その藁が大変よろしいものだった。
――わふこさんとしては、放っておいたらどうなるかわからないので抱きしめて寝た感じですか。
わふこ このまま別れたり、帰ってしまったら、それが最後の一押しみたいになって死んでしまうんじゃないかと思って。
つしま 漫画にも描きましたけど、彼女はやのちゃんのことがあったので。そうなったら非常に寝覚めが悪いって。
――高校時代のクラスメイトの方ですよね。わふこさんに電話を掛けてきたけど話すことが叶わず、しばらくして命を絶たれたという。彼女のこともあって、ほうっておくわけにはいかないと。そこからつしまさんがわふこさんと会うようになって信頼を重ねていった一方で、わふこさんはつしまさんに対してどんな思いを抱いていたのでしょう。
わふこ 信頼されていることに対しては悪い気はしなかったですけど、ちょっと面倒くさいなって。その頃、住んでいたのが三重県だったんですよ。
つしま で、私が愛知県で。三重県だと、ちょっと離れているんですね。
わふこ それで移動が大変だったりとか。
つしま でも、付き合い始めて1カ月で同棲をして、同棲1年ぐらいで結婚しました。だから、展開は早かったかな。