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「自分の引き際は自分で決めさせてほしい」角川歴彦辞任 KADOKAWA役員会の暗闘

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〈私は、本日、株式会社KADOKAWAの会長職を辞することといたしました〉

 10月4日、東京地検特捜部に贈賄罪で起訴されたのを受け、会長辞任を表明したのは角川歴彦被告(79)だ。

角川歴彦被告

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角川被告が拘置所内で手に取った1冊

 社会部記者の解説。

「角川被告は社員2人と共謀し、元電通専務の高橋治之容疑者に大会スポンサーの選定で便宜を図ってもらった見返りに、高橋容疑者側に約6900万円の賄賂を渡したとされます」

 9月14日に逮捕されて以来、不整脈の持病を抱えながら、東京拘置所暮らしが続く角川被告。全面否認を続けており、「私の名誉を守ることが会社の名誉を守ることに繋がる」と口にしてきたという。そんな角川被告が拘置所内で手に取った1冊がある。

『無罪請負人 刑事弁護とは何か?』

 元厚労次官の村木厚子氏が大阪地検特捜部に逮捕された事件で、無罪を勝ち取ったことなどで知られる弘中惇一郎弁護士の著書。出版元はKADOKAWAだ。同書が版を重ねてきたことを喜んでいたという。

「角川被告は兄・春樹氏に角川書店(当時)を追い出されたものの、その春樹氏が麻薬取締法違反で逮捕されると、社長として復帰した。04年には東証1部に上場。ニコニコ動画を運営するドワンゴと経営統合するなどして、売上高2200億円超のメディアミックス企業に成長させました。それだけにKADOKAWAは自分の会社という意識が強いのです」(同社関係者)

KADOKAWA本社

水面下で進められていた 角川被告の“解任計画”

 だが、今回の逮捕で事態は一変した。同社経営陣の1人が明かす。

「角川さんがいくら否認しても、会社として賄賂を渡した形になっているのは事実です。検察に逆らって勝ち目があるわけない。社のブランドイメージも大きく毀損されました」

 そうした中、水面下で進められていたのが、角川被告の“解任計画”だ。