8月23日に政府の規制改革推進会議議長に就任した、KADOKAWA社長の夏野剛氏(56)。「文藝春秋」の単独取材に応じ、炎上発言の真意について語った。

 夏野氏は、NTTドコモ「iモード」の「産みの親」として知られ、2019年から規制改革推進会議の委員に就いており、今年9月に発足したデジタル庁の有識者会議「デジタル社会構想会議」のメンバーにもなった。まさに政府の「デジタル改革の顔」というべき存在だ。

夏野剛氏

 そんな夏野氏の発言が物議を醸したのは、規制改革推進会議の議長に就任する1カ月前のこと。7月21日、インターネットテレビ局「ABEMA」内のニュース番組「ABEMA Prime」における五輪の無観客開催について議論で、あるコメンテーターが「子供の運動会や発表会が無観客で行われる一方で五輪に観客を入れるのは特別扱いではないか」と発言すると、夏野氏はこう反論した。

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「公平感…そんなクソなね、ピアノの発表会なんか、どうでもいいでしょう、五輪に比べれば。それを一緒にするアホな国民感情に、やっぱり今年選挙があるから乗らざるを得ないんですよ」

 この「クソなピアノ発表会」発言はネットを中心に大炎上した。

 夏野氏が弁明する。

「プライベートなピアノの発表会と国家的な行事を同列に議論されているのはおかしいと言いたかったのだけど、それが違う風にとらえられて炎上してしまった。不用意で不適切な発言だったと反省しています。今までネット番組ではクソやアホという表現はいくらでも使われてきた。ホリエモン(堀江貴文)とかね。アベマも世間から注目されるようになり、このコロナ禍で番組で発したことがテキスト化され切り取られ、ネット言論への風向きが変わってきたなと思っています」

世界を驚かせたiモード

――ネットではクソとかアホというのは当たり前なのか。

「地上波で求められる流儀とは若干違うので。ネット言論でもアホとかクソって特定の誰かをターゲットにしているわけではないです。アベマを公共の電波だと思っている人も出ているから、身を新たに地上波モードでやっていきたいなと」

――KADOKAWAの社長として発言をどう考えるのか。