新生活のはじまりとともに、独り立ちする人も多いだろう。お盆や正月の帰省中は実家で心身ともにリラックス、といきたいところだが、なかには独立した後に実家が“ゴミ屋敷”になってしまってくつろげないというケースもある。

 そこで今回は、実家がいつの間にか“ゴミ屋敷”になってしまった高畠雅之さん(仮名・40歳)に話を聞いた。(全2回の2回目/前編から続く)

写真はイメージ ©moonmoon/イメージマート

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“生き物”が住み着いたゴミ屋敷

 リビングの床は使っていない家電や、父が購入した大量の書籍で埋め尽くされていた。書籍の一部は古本屋に買い取りを依頼したものの見積もりが数千円にしかならず、労力と見合わないと感じて資源ごみとして処分したという。

さまざまな“モノ”で埋め尽くされたキッチン(本人提供)

「掃除をしていると、大量の虫も出てきました。マンションといっても、1階の庭付き物件だったので、虫も入り放題だったようです。僕は見ていないのですが、勝手口のドアのガラスが割れていたらしく、そこからヘビが入り込み、部屋に住み着いていたとか。まさか家の中でヘビに遭遇するとは思わないですよね」

 ゴミ屋敷の掃除は、生き物との戦いでもあるのだ。そのほか、高畠さんが「高齢者の家に多いかもしれない」と話してくれたのが、新聞紙の束だ。

「父が購読していた新聞も10年分溜まっていたので、処分するのが大変でした。新聞だけならまだしも、新聞社からプレゼントされるカレンダーや新聞を購読している人を対象に特別価格で販売される調理家電も、箱に入ったまま山積みになっていたんです。契約を取るための施策なのはわかりますが、処分するほうの気持ちも考えてほしいです……」

「すべてうちから出た資源ゴミです。大掃除の日は、ゴミ出し日ではなかったのですが、管理人さんがうちのゴミを仮置きさせてくれました」(高畠さん、写真は本人提供)

親切な隣人女性

 彼らが10年分のゴミと格闘するなか、隣に住んでいる女性も、不要なソファをごみ処理施設に持っていくための車を手配してくれたり、その手続きをサポートしてくれたりと、手を差し伸べてくれたという。

「お隣さんも、うちの庭が年々荒れていく様子を気にかけてくれていたそうです。隣のお部屋に上がらせてもらったところ部屋がきちんと整理されていて驚きました。同じマンションの同じ間取りとは思えませんでしたね」