事件から36年が経過…それでも今も記憶にこびりつく最悪の少年犯罪「女子高生コンクリート詰め殺人事件」。罪のない17歳の女性はなぜ狙われたのか? 残虐な犯罪を行った4人の少年たちはその後どんな人生を歩んだのか? 新刊『映画になった恐怖の実話Ⅳ』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全4回の1回目/続きを読む)

残虐な事件はなぜ起きたのか? 写真はイメージ ©getty

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日本最悪の少年犯罪「女子高生コンクリート詰め殺人事件」

 1989年(平成元年)3月29日、東京都江東区の埋立地に置かれたドラム缶の中から、真っ黒に変色した遺体が発見された。遺体の指紋から、身元は捜索願が出ていた埼玉県八潮市在住の女子高生と特定されたが、遺体はほぼ原型を留めておらず家族ですら判別が難しかった。いったい彼女に何があったのか。

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 2004年の映画「コンクリート」は日本の少年犯罪史上最も残虐と言われる、この「綾瀬・女子高生コンクリート詰め殺人事件」を題材にした1本だ。しかし、加害者の視点に立った作品内容や、被害者遺族に何の連絡も無しに制作されたことなどが問題視され、当初予定されていた劇場での公開は中止。

わずか1週間で上映中止に(写真:AmAzonより)

 その後、ミニシアターで公開されたものの、映画の製作会社の掲示板に脅迫的な文言が書き込まれたことなどが原因で、わずか1週間で上映中止に追い込まれた。

 まずは映画のあらすじを簡単に紹介しておこう。主人公・大杉辰夫(演:高岡蒼佑)は高校を中退後、同じ中学出身の尾崎弘明(演:小林且弥)、池田智巳(演:柘植亮二)、松山隆男(演:間野健介)とヤクザの下部組織である「龍神会」を結成する。やがて自分たちが組に自分が利用されているだけだと気づいた彼らは、苛立ちを吐き出すように行動をエスカレートさせ、ある日帰宅途中の女子高生・美咲(演:小森未来。現・小森美樹)を拉致し、ホテルに連れ込み強姦。さらに池田の自宅に彼女を監禁し、容赦のない暴行を加えていく。