主犯格である「少年A」

 主人公・大杉のモデルになったのが、事件の主犯格である「少年A」(同18歳)だ。父親が愛人の家に入り浸りで家庭を顧みなかったことから幼いころより非行に走り、地元の足立区立綾瀬小学校5年のとき髪型をパンチパーマにし、集団万引や喧嘩を繰り返した。その後一度は更生し、東綾瀬中学校では柔道部に入り東京都の大会で2位に。

 実績を認められ1986年4月に東海大学付属高輪台高等学校へ進学したが、実力を嫉妬した先輩たちから激しいいじめを受け2年生に上がる直前の1987年3月に中退。映画の主人公と同様、実家近くのタイル工場に就職したものの、時を同じくして地元の暴走族に入り、傷害や建造物侵入、学校への殴り込み、窃盗などの犯罪行為を働き保護観察処分となった。

 その後、改心したAは暴走族を辞め、約1年間タイル工として真面目に働くも、給料が安いことに嫌気を覚え退職。中学時代の同級生の紹介で知り合った足立区の暴力団関係者に勧誘されて、的屋、ブランド品の偽物の販売、花屋(水商売の店に花を届ける仕事)、暴力団事務所の当番などとして働き始める。

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3人の共犯者

 大杉の舎弟・尾崎のモデルが「少年B」(同17歳)で、Aと同じ中学の1年後輩である。卒業後、葛飾区の私立修徳高校に進学したものの、部活動で怪我をしたのがきっかけで非行に走り、校内で暴力事件を起こし退学処分に。その後、先輩のAとツルんで犯罪の道を進むようになる。

 池田のモデルは「少年C」(同16歳)。AとBは違い“足立区の学習院”と呼ばれる名門中学を卒業後、都内で唯一の科学専門工業学校に進学した。両親は共に医療従事者で一見、犯罪とは無縁の環境に思えるが、父親の躾があまりに厳しいことに反抗し学校を中退。素行不良となり、ほどなく地元が同じAらと行動を共にするようになる。

 そして、劇中の松山のモデルになったのが「少年D」(同17歳)だ。両親が早くに離婚し、母親と姉の3人暮らしは生活保護で成り立っていた。定時制の工業高校に進学し、たった1週間で退学。その後、同じ中学の同級生だったBの誘いでワルの仲間に入る。ちなみに、劇中で主人公・大杉は松山の姉・佳代子(演:三船美佳)と同棲、結婚を誓い合う間柄として描かれているが、これも実際の出来事だ。AはDの姉と高校時代に交際を始め、18歳で結婚することを目指して金も貯めていた。が、タイル工を辞めヤクザの使いっ走りになったことで関係は破局。それに代わるように弟のDがAと親しい関係になっていった。

 1988年9月、Aは下働きをしていた暴力団の青年組織を標榜する「極青会」を結成。自分が会長、Bを副会長に置き、CとDにも上部団体の雑用を手伝わせる傍ら、女性を狙ったひったくり、強姦事件などを繰り返し起こすようになる。そんな彼らの餌食となったのが女子高生のJさん(同17歳)だ。

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