「これから作業するから撮影してほしい」――62歳の男性を殺害後、切断した首を自宅に持ち帰って自ら解体していた犯人女性。なぜそこまで残忍な犯行に及んだのか? その姿を見せつけられた両親のその後とは…? 2023年に起きた事件を、ノンフィクションライターの諸岡宏樹氏の著書『実録 性犯罪ファイル 猟奇事件編』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。なおプライバシー保護の観点から本稿の登場人物はすべて仮名である。(全2回の2回目/最初から読む)
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62歳男性の首を切断したあとに取った異常行動
自宅に着く直前、莉緒が「パーティー用の氷袋が欲しい」と言うので、コンビニに寄った。数袋買って自宅に帰り、莉緒が浴室で黒いビニール袋を取り出したので、「それは何?」と聞くと、「首。拾った」と答えた。父親は思考が追いつかず、頭が真っ白になった。莉緒が冗談を言うわけがないので、それが本当の首なら被害者の首だと思った。
事件翌日、チェックアウトの時間を過ぎても出てこない部屋に清掃に入った従業員が浴室で死んでいるAさんを発見。通報で駆け付けた救急隊員が首なし遺体であることを確認した。当初、警察はAさんが女装姿でイベントに参加していたことから、同性愛者もしくは性的少数者の犯行の可能性を重視して交友関係を洗っていたが、容疑者が浮上しなかった。
あらためて現場周辺のクラブなどで聞き込みを徹底したところ、Aさんが性的少数者を装って若い女性のナンパを繰り返し、苦情が続出してクラブを出入り禁止になるなど界隈のトラブルメーカーだったことが分かった。中でも深刻なトラブルに発展していたのが莉緒に対する性的暴行疑惑だった。莉緒は容疑者の最右翼に浮上した。
一方、莉緒は生首から左眼球、舌、食道などを摘出し、ガラス瓶に目玉を保存し、「目玉が入っているから見て」と母親に見せびらかし、母親の寝床近くに置くよう命じた。
父親も同様に人体の一部分、舌の一部と眼球らしいものが入ったガラス瓶を見せられ、「どう?」と感想を聞かれた。「びっくりした」「すごいね」などと言って、適当に生返事した父親に対し、「用事があるから来て」と言って浴室に連れて行き、ハンディカムを持たせた。
「これから作業するから撮影してほしい」