3月27日、フジ・メディア・ホールディングス(HD)は、同社とフジテレビの取締役相談役を務める日枝久氏(87)が退任すると発表した。
2024年末から世間を騒がせてきた「中居正広・フジテレビ問題」。ことし1月に行われたフジテレビの会見当日、「週刊文春」は日枝氏の姿を捉えていた。40年以上にわたって取締役を務め、“フジの天皇”と呼ばれた日枝氏とは、一体どんな人物なのか。その全貌に迫った当時の記事を全文公開する。(全2回の2回目/はじめから読む)
(初出:「週刊文春」2025年2月6日号。年齢、肩書は当時のまま)
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被害者の人権が守られていない
2025年1月27日に行われたフジテレビの「やり直し会見」。その翌日、芸能関係者のX子さんは、友人に思いの丈を明かしている。
「フジとの話し合いでは、『“加害者”(中居のこと)が平気な顔で番組を続けて出入りするフジの社屋に私は入れない。もし偶然会ったりしたらと思うと怖い』と、はっきり伝えています。皆さん、何も答えてくださいませんでしたが……」
そして呆れたようにこう続けたという。
「私の話を一切聞くことなく、“加害者”の主張を鵜呑みにしてきたのに、今になって彼のレギュラー番組を継続したのは被害者のプライバシーや心を守るためと説明されても、到底、納得できない。そもそも会見で、フジの役員が口を滑らせて個人を特定させる発言をしたり、被害内容をほのめかしたりするなど、私の人権は全然守られていません」
フジテレビ編成幹部の「A氏の関与」についてフジは会見で次のような見解を示している。
「中居氏あるいは女性とのやり取りにおいて当該食事会への社員の関与を証明する内容のものは確認できませんでした」
だが、X子さんの認識はまるで異なる。事件当日までにX子さんはA氏に誘われ、中居と3回ほど会食。事件当日は中居との4回目の飲み会だが、彼女は「Aさんがセッティングしている会の“延長”」と認識しているのだ。