元タレントの中居正広と女性とのトラブルを巡るフジテレビの一連の問題で、同社と親会社のフジ・メディア・ホールディングスが設置した第三者委員会が3月31日、調査報告書を公表した。報告書は「女性が中居氏による性暴力の被害を受けた」「重大な人権侵害が発生した」と認定し、性暴力は「業務の延長線上」だと認められるとも指摘。
さらに、経営陣の対応については、「フジテレビの対応は経営判断の体をなしていない」「思慮の浅い意思決定と被害者に寄り添わない対応」などとした。
「週刊文春」は、フジテレビが事件発覚から1年5カ月にわたって調査すらせず、中居の冠番組を延命させていた裏で、フジ・メディア・ホールディングスを含むグループ企業にテレビ局の監督官庁である総務省のOBら4人が天下りしていたことを報じている。天下り官僚たちは、フジが置かれた現状と調査委員会についてなんと答えたのか。当時の記事を全文公開する。
(初出:「週刊文春」2025年1月23日号。年齢、肩書は当時のまま)
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「天下り役人の一人は、昨年6月26日にフジ・メディア・ホールディングスの取締役に就任した山田真貴子氏です」(総務省関係者)
女性初の首相秘書官が取締役に天下り
山田氏は1984年に旧郵政省に入省。2013年、第2次安倍内閣で女性初の首相秘書官に抜擢され、安倍政権を支えた。その後は順調に出世街道を歩み、2017年には放送行政を一手に担う情報流通行政局長に就任。情報流通行政局長は放送担当のトップである。
そして女性初の総務省次官級ポストである総務審議官を経て、2020年7月に退官した。
「2020年9月、菅義偉内閣のもとで女性初の内閣広報官に就任しましたが、総務審議官時代に菅元首相の長男が勤めていた放送事業会社『東北新社』から、一晩に7万4203円という高額接待を受けていたことが『週刊文春』の報道により発覚。山田氏は、かつて若者に向けた動画メッセージで『飲み会を絶対に断らない女としてやってきた』と語っていた。大きな批判を浴び、翌年3月に内閣広報官を辞任しました」(同前)