「表舞台にいたいんだよな。それだったら裸の写真を撮られたり、ハメ撮りされたら困るよな」

 2010年代、暴力とレイプによって関係者たちを支配していた、東京のとある芸能事務所。あまりにも狡猾な手段によって、被害者たちもなかなかそれを公にできない状態が続いたが…。元ヤクザに支配された芸能事務所の犯罪が無事、露見した理由とは? なおプライバシー保護の観点から本稿の登場人物はすべて仮名である。(全2回の2回目/最初から読む)

女性の体の一部をカッターナイフで切り取ろうとしたことも…。写真はイメージ ©getty

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暴力とレイプで相手を支配…悪魔の芸能事務所

「名前と生年月日を言え。もっと足を広げろ!」

 そして、事務所のソファベッドで横になるように命じられ、自慰行為をさせられた。

 小林はスマホを構えながらセックスに及び、やがて射精したが、A子さんは恐怖感から涙も出なかった。

「この動画は半年間保管するからな。もしこの業界でお前を見かけたり、情報を漏らしたりすれば、この動画をネットで流すからな」

 さらにA子さんは「もう1回」と求められ、再びセックスさせられた。もはや恐怖感を通り越し、行為が終わったかどうかも覚えていなかった。

 最後に事務所の関係者とやり取りしたLINEの記録をすべて消去させられ、ようやく解放された。

 A子さんは自宅に帰ってから風呂に入り、小林の体液をすべて洗い流した。膣から血が出ていることに気付いたが、医者に事情を聴かれることをためらい、病院にも行かなかった。

 A子さんはこのことを小林が別件で逮捕されるまで誰にも言わなかった。

 小林が逮捕されたきっかけは、自分の芸能事務所に所属すると言いながら、その約束を破った女性タレントのB子さん(24)に対し、頬を平手打ちしたり、灰皿で殴って、「秘密保持誓約書」を書かせた上、迷惑料50万円を請求したというものだった。

「お前、ナメているのか。もし、自分から連絡してこなけりゃ、知り合いのヤクザに頼んで拉致していたところだ」

 小林は「窓から飛び降りろ」「首を吊って詫びろ」などと、できもしないようなことを強要して脅し、賠償金を支払うために風俗で働くことを提案。泣いて謝るB子さんに対し、いつもの手口で全裸にし、陰部などをスマホで撮影した。

「警察に言うなよ。シャバに出てきたら、復讐してやるからな!」

 それだけでなく、小林はカッターナイフを突き付け、B子さんの乳首を切り取ろうとした。