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朝日、産経、読売 成人式社説「おじさんの壮大なひとりごと」を読み比べてみた!

なぜか、居酒屋で絡まれている気分になる社説

2018/01/12

 新聞マニアにとって楽しみな日が今年もやってきた。それは「成人の日」。

 新聞を擬人化すればおじさんである。だから張り切って新聞おじさんは新成人にメッセージをおくる。しかしだいたい説教臭くなる。

成人式社説の名作 2012年の朝日「尾崎豊を知っているか」

 私が今でも名作だと大切にしているのが2012年の朝日新聞の社説。

 タイトルは「尾崎豊を知っているか」。

名作! 2012年1月9日朝日新聞

《ああ、またオヤジの「居酒屋若者論」か、などと言わずに、聞いてほしい。
キミが生まれた20年前、ロック歌手・尾崎豊が死んだ。》

 オヤジという自覚を持っているが、次第に饒舌になってゆく。

《彼が「卒業」「15の夜」といった曲で歌ったのは、大人や社会への反発、不信、抵抗。恵まれていないわけじゃないのに、「ここではない、どこか」を探し、ぶつかり、傷つく。
 その心象が、若者の共感を呼んだ。尾崎の歌は高校の教科書にも採用されたほどだ。》

「ともあれ、おめでとう。」

 このあと朝日おじさんは「尾崎豊はどこへ行ったのか」と問う。そして、

《いくら「若者よもっと怒れ」と言っても、こんな社会にした大人の責任はどうよ、と問い返されると、オヤジとしても、なあ……。
 でも、言わせてもらう。》

 壮大なひとりごとが始まった。続けよう。

《私たちは最近の社説でも、世界の政治は若者が動かし始めたと説き、若者よ当事者意識を持てと促した。それだけ社会が危うくなっていると思うからだ。
 だから、くどいけれど、きょうも言う。成人の日ってのは、そんなもんだ。
 ともあれ、おめでとう。》

©iStock.com

 朝日おじさんは「尾崎みたいに社会に対してもっと怒れ」と檄を飛ばした。そして言うだけ言って最後に「ともあれ、おめでとう」。やっぱり居酒屋で絡まれてるみたいだ。この力技を名作と言わずになんと言う。