昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

燃え殻
2018/01/20

無気力の息子を持つ親に、燃え殻さんが贈る言葉

燃え殻さんに聞いてみた。

Q 何もしない息子、心の底から悩んでいます

 こんにちは。

 たいへんつまらない悩みですが、心の底から悩んでいます。

 高校2年生の息子が朝、起きません。アラームもセットせず、電気をつけたまま行き倒れの人のように部屋に横たわっていることもあります。制服のままお風呂にも入っていないこともあります。

 私が起こしてやるから甘えているのだと思い、何度か放っておいたこともありますが、そうすると全く学校へは行けなくなります。半月ほどで私が我慢できなくなり、起こしてやるととなんとか登校します。

 スマホのゲームにハマってしまったことがありましたが、たしなめると本人も納得して今は使っていません。今はマンガにハマっているようです。どうも何かにハマりたい性格のようです。何かにハマると他のことができなくなるようです。ハマるとご飯も食べません。

 たぶん友達もいないようです。もちろん彼女もいません。校則でバイトはできません。部活は辞めました。

 勉強や進学はもうどうでもいいんです。

 生きていけるんだろうか。それが心配です。

 私は彼を放っておいた方がいいですか? それとも何かできることがありますか?

 ダメな母親です。いろんな人に相談しましたし、本やネットでもいろんな意見を読みました。放っておけとか、家にいる間は声をかけてやれとか、過保護だとか愛情不足だとか、いろんな意見があって私はもうどうしていいか分かりません。

 よろしくお願いします。(40代・パート・女性)

A アラームを鳴らしても好転しないように思います

 心中お察し致します。高校2年生の頃の自分とかなり似通ったところが多く、懐かしさを感じました。ただちょっと背筋が凍るような懐かしさでもありました。

 自分は高校1年生、2年生の頃は眠くて眠くて仕方がありませんでした。眠さに負けて、バイトを辞めたこともあります。友達は1人いました。彼女はいませんでした。部活はもともとやってません。趣味は特になかったです。何かにハマる才能すらなかったのかもしれません。運動もそれほど得意じゃない、勉強も中の下、自分の将来の話すらしたがらないという状態の息子に、両親はそれはそれは心配だったと思います。

 あの頃の自分としての言い訳は、「自分でも自分のことがまだ分からないのに聞かないでくれよ!」でした。何にも秀でていない自分と対峙するのが怖くて怖くて後回しにしたくてたまりませんでした。

ままならない恋愛と、ままならない仕事

 そんな自分が変われた要因は、ままならない恋愛と、ままならない仕事だったかもしれません。自分が自分の将来について自覚的になれたのは、お恥ずかしい話ですが、後回しも限界の24歳の頃だったと思います。

 今、自分は両親に感謝しています。とても将来性があるとは思えない道を歩むと決めた時の自分を見過ごしてくれたことを、決めた時にすらそんなに考えてなかった自分を見過ごしてくれたことを。

 これだけ心配して、これだけ鮮明に息子さんのことを語れるあなたはきっとダメな母親ではありません。これから先必ず訪れる、息子さんのままならない出来事が、息子さんに無理矢理にでも人生を教えてくれるはずです。そのタイミングが明日なのか24歳なのかはちょっと分からないですが。あなたのお話をよく聞いてくれる息子さんにぜひ、「わたしはあなたを真剣に心配している」と伝えてみてください。彼に今響くか分かりません。ただあなたのつっかえは少しは取れると思います。

 真剣に心配してる話をする時に、出来ればあなたがまだままならなかった頃の話もしてあげてください。彼の人生をアラームを鳴らすように無理矢理起こしても好転しないと思います。まず安心させてあげてください。どんな人間も挑戦の一歩目は、恐怖を知らない無知からくる勇気だったりします。自分からの一言も彼にお伝えください。これもまったく根拠のない、自分以外の検証のない言葉なんですが、まず安心させたいのです。「生きていればどうにかなるから大丈夫です。だからとにかく生きていてください」

「○○さんに聞いてみた。」のコーナーでは、みなさまからの質問を募集しています!

質問投稿フォーム