Q 将来やりたいことが出来るのか、という漠然とした不安
芸大で製品デザインを学んでいる大学生です。現在就職活動中なのですが、自分が世の中に必要とされている人材なのか、わからなくてデザイン職に就職出来るのか不安です。燃え殻さんは就活中のこういった将来やりたいことが出来るのか? という不安をどう乗り越えましたか?(20代・男性)
A 不安は乗り越えるものではなく、付き合っていくものだと思います。
「やりたいことが見つかってる20代」というだけでボクとは出来が違います。芸大。すごいなぁ。ボクは40代まで夢も希望も口にしたことがほとんどなかったというか、聞いてくれる人もいないような人生を送ってきました。就活はちなみにやったことがありません。アルバイトで入ったテレビ関係の仕事をズルズルやって正社員になって、色々な巡り合わせで今これを書いています。芸大で製品デザインを勉強されているようなキッチリとした人生設計をされている方に語る資格がないほどに、ボクは風に流されて、波に身を委ねて生きてきました。ただあなたとボクにうっすらとした共通点があるとしたら、「今、不安である」ということだと思います。
あんまり大きい声では言えないのですが、不安とか恐れが無くなった人間から会社を辞めていった気がします。大体にして生物が不安じゃなくなった状態って、もうダメだと思いませんか? あなたもボクもきっとやけに生物っぽいんですよ。あなたは優秀な生物っぽくて、ボクは自堕落な生物っぽいんです。
エクレア工場で、毎日不安だったころ
ボクが最初に就いた仕事は神奈川県の外れにあったエクレア工場でした。来る日も来る日もベルトコンベアで流れてくるエクレアを箱に詰める仕事をしていました。その時、ボクは毎日不安だったんです。このまま人生終わっていいのかな? って。それからボクはアルバイト雑誌で見つけた会社に潜り込みます。そこでもボクは新しい不安にブチ当たります。そして今の会社に入って、これを打ち込んでいる今日も実は不安で一杯です。ただ不安の内容は常に更新されています。去年の不安を手帳で読むと鼻で笑うぐらいには更新され続けています。同じことで悩む20年間だったらボクは本当に病んでしまったであろうと思います。前に進むことによって、悩みもまた前進していくと確信しています。
不安は乗り越えるものではなく、付き合っていくものだと思います。時に並走してくれるものです。その不安によって、大きく道を逸らさないという特典もあります。将来の不安を前借りして悩む時期だとは思いますが、遠近両用メガネのごとく、目の前の問題に集中する時間、将来の不安に悩む時間をスケジュール帳に書き込んでください。就活してるわけですから、これからは自分で日程を立てていくしかありません。色々な角度から不安と達観を繰り返し、一つ一つ解消していきましょう。
もし自分のベストな選択を選べなかったとしても、それは現時点の話です。その場合はまたカリキュラムを立て直し、一つ一つ解消していきましょう。同じ不安というハードルを一発で乗り越える人もいるでしょう。経験や挫折、成功体験という筋肉をつけて乗り越えていく人もいるでしょう。将来やりたいことが、将来できるためにも、今すぐ出来なかったとしても後悔したり諦めたりするのはやめましょう。
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