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「防衛増税」で大ひんしゅく…岸田政権が「保守・リベラル」双方から批判されるのは何故なのか?

2022/12/20
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“萩生田逃げた”ってまるで旧統一教会問題を思い出すが、増税反対論を展開していたはずの萩生田氏が「逃げた」じゃないかという見出し。自民党税制調査会が法人税など3税を増税する方針を固めたことについてだ。一方、増税時期は「あいまい」にしたので萩生田氏は最初からこの結末を分かっていたのではというツッコミでもある。

 つまりゲンダイは高市氏にしろ萩生田氏にしろ増税反対を言うが、それは安倍後継を狙ったアピールだよねという視点だった。

©JMPA

財務省に洗脳されている?

 一方の夕刊フジは同じ頃に何を主張していたのか。

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『「岸田増税」財務省の思惑 洗脳か』(12月17日付)

 こちらも叫んでいた。岸田は増税派の財務省に洗脳されているというフジ師匠。その下には『安倍元首相の遺志「防衛国債」を排除』という見出しがあった。生前の安倍氏は防衛費財源について「国債」を主張していた。安倍氏亡き今、安倍派の有力議員がそれを口にしている流れがわかる。そして「岸田は財務省に洗脳されているのだ」と安倍推しのメディアが書くのもわかる。

 ここまで並べてみただけで同じ“岸田批判”でもゲンダイとフジには微妙な、いや、かなり大きな違いが見えて面白い。

“防衛費倍増の是非を議論しないで財源論議で激突しているように見せるのはヤラセだ”というゲンダイ師匠と、“安倍元首相の遺志(防衛国債)を継がずに岸田は財務省の言いなりになりやがってけしからん”というフジ師匠。この視点の違いを読み比べておきたい。